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2018年4月 4日 (水)

「賃貸世代」により活性化する借家人組合 ①

続き:
 イギリスにおいて「賃貸世代」は、民間賃貸での居住を余儀なくされている人々であるとともに、アフォーダブルな賃貸住宅を要求する非営利の圧力団体=「賃貸世代」(GR、民間借家・居住者の権利擁護団体)の名称ともなっている。GRは、2015年5月に実施されたロンドンの市長選の政策課題として住宅政策をNo.1に押し上げ、労働党のアディック・カーンを勝利に導いた。
 GRは、「ロンドンの住宅戦略」が公表された直後、「ロンドンの住宅:より安心をもたらす新しい機会」という文書をホームページに掲載している。GRが「ロンドンの住宅戦略」に関連して強く主張しているのは、「過失のない追い出し」を規定した1988年住宅法・条項21の廃止である。GRの主張はこうだ。「条項21は、ホームレス問題を惹起させている第1の理由となっている。借家人は住宅を必要とする人々であり、家主の収入の為の簡便な手段ではない。条項21の廃止により物件の頻繁な売却は抑制され、過失のない借家人が追い出しを迫られた場合、補償金が発生することになる」。
 この点、GRは「ロンドンの住宅戦略は、条項21の廃止にむけた可能性を指摘するに止まっている」と指摘する。というのも住宅法の改定は、保守党の多数を占める国会の承認を必要とし、「市長は基本的にロンドンの民間賃貸セクターを変革させる権限を有していない」からである。
 これまで借家人運動は、ジェントリフィケーションに伴う団地の取り壊しなどに反対している社会住宅の住民から出来してきた。これに対し民間賃貸セクターの借家人は、しばしば保証金詐欺、不正な追い出しに直面しながら、孤立、無力感に苛まされてきた。これに対してGRは、「借家人が家主らに説明を促すよう働きかける地域グループを育成」する。その運動はマンチェスター、リパプール、オックスフォード、ブリストル、カーディフ、グラスゴーニまで波及している、こうした地域グループのなかには、借家人らが専従を擁立してユニオンを結成する団体(Living rent' Acorn など)も出てきている。
 本誌― 2017/07 号では、スコットランド国民党を率いるニコラ・スタージョン首相の主導の下、これまでUKの一員としてイングランドの住宅政策と歩調を合わせてきたことで、深刻な住宅問題に直面していたスコットランドは、イングランドの施策と一線を画すことになる。





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