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2018年4月 1日 (日)

ジェントリフィケーションに対抗する 「賃貸世代」 ②

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 なお、クラウンハイツ借家人組合をふくめたニューヨークのおける50余りの借家人グループを統括しているのは、「人々にアフォーダビリティを」(RAFA)という団体であり、デ・ブラシオの市長当選も支持した。しかしながら2期目(2017年11月~)を担当することになった市長の住宅政策に対してRAFAは、批判的な立場をとっている。
 市長は、4年前の選挙にあたって、次の事を宣言していた。即ち、ブルームバーグ前市長の「二都物語」を終焉させるべく所得格差を是正すること、特にアフォーダブル住宅の供給を政策の最優先課題とすること、である。しかしながら、シェルターの利用を余儀なくされるホームレスは、6万2963人(2017/12/10 現在)へ拡大。
 家賃規制ついては、家賃安定化法により、140万人の低所得の借家人と70万人の中間所得のニューヨーク市民が恩恵を受けている。しかし、借家人がその住戸から転出したとき、当該地区の最大法定家賃が2500ドル以上であれば家賃安定化法からの離脱を許可する、高家賃・空き家の規制解除の廃止が見送られた。借家人グループは、この緩和策が、ジェントリフィケーションとともに波及する家賃上昇を容認している、と主張していた。
 さらに強制的・包摂的ゾーニングは、ブルームバーグ時代に機能していた条項421-a (ディベロッパー建設した住戸数の少なくとも20%をアフォーダブル住宅とした場合、不動産税を減額するもので、場所によっては、そうした住宅を供給することなしに減額が可能となっていた)について、アフォーダブル住宅の比率を25%~30%へと上げ、その履行を強制化したものである。ニューヨーク市は 421-a による新たなゾーニングの実施にむけて 15地区を指定、その高層化と高密度化により2024年までにアフォーダブル住宅を8万戸供給することを計画していた。
 RAFAは、これらの施策を次のように批判する。こうして付置されるアフォーダブル住宅の家賃が当該地区の低所得者には手が届かない状況になっており、結果的に黒人の多くは移転を余儀なくされ、地域の「白人化」につながる、と。
 なお、さきにジェントリフィケーションに伴う追い出しが、シェルターを利用するホームレスの増大につながっていることに言及したが、2017年7月、市長は家主による追い出しへの対策として、裁判における法定代理人である弁護士の費用を無料とする法案を通過させた。ニューヨーク市の市会議員の一人は、この法案の通過について「弁護される権利を付与される借家人の勝利」と表現していた。しかし現状では市長の政策は、アクセル(追い出しを促進させるジェントリフィケーション)とブレーキ(追い出しの法的な抑制)を同時に踏む内容になっている。
 2期目を担当する市長に対するRAFAの要望は、大略、(1) すべての公有地を、低中所得者むけの恒久的なアフォーダブル住宅のみを提供する非営利のディベロッパーに委ねること、(2) 市の家賃補助プログラムを改善し、シェルターを利用するホームレスの住宅への移行を促進させること、である。
 但し、後者の施策の実現には、住宅手当 (Secction8) を管轄する住宅都市開発者=連邦政府の協力が必要。現状では、持家には年間2000億ドルものローン利子への税金控除がなされているが、その75%は所得階層のトップ20%に配分され、住宅手当への支出は年間460億ドルにとどまる。
 したがって全国と地方に拠点をもつ SEIU の支持をうけた地域レベルでの都市社会運動を、連邦レベルの住宅改革にどうつなげていくのか、という大きな課題が残されているのだ。
 





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