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2018年4月 5日 (木)

「賃貸世代」により活性化する借家人組合 ②

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 2015年10月に民間住宅借家人法が議会で可決。この法律により、第1に、これまでのASTにかわってスコットランドの民間賃貸借家権が導入され、借家人は、その借家期間が終了したことを理由に、また借家人に過失がない場合に、簡単に退去を要請されないようになった。第2に、家賃の賃上げは、3ヵ月前の通告による年に1度に限られ、自治体は大臣に家賃圧力ゾーンを申請することで、借家人の家賃上昇レベルに上限(消費者物価指数+1%以内)を設定できるようになった。
 グラスゴー、エディンバラ、アバディーンに拠点をもつ「リウィング・レント」(スコットランドの借家人組合)で広報・宣伝を担当しているジョーン・ブラックは、以上の政策転換とユニオン化について、― 述べている。「これらすべては、われわれにより達成されたのであり、借家人とその支持者らは、政策転換を実現すべくかなりのボランタリーな時間を提供した。そして組織力を向上させ継続させるためユニオンを結成し、専従スタッフを置くことを決定した」。
 GRは全国的なキャンペーンをメディアから訴える団体であり、個々の借家人からの相談は回避している。これに対したとえばブリストルを拠点とする「アコーン」は、メンバーによる資金と専従スタッフを有する全国展開の借家人組合であり、修理をめぐる口論の解決にむけて仲介し、追い出しの危機に借家人を擁護し、法的な代弁者を擁立し、面会とヒヤリングの際、借家人に同伴する仕事を展開。
 なお、ゼロ・アワー契約のもとで居住不安に直面している借家人にみられるように、イギリスには賃貸世代の多数をしめるワーキングプアを労働組合が十分に組織化されていない現状がある。このため労働党のジェレミー・コービン党首は、2017年7月の総選挙に向けて提出したマニフェストで「労働の権利」という項目を掲げた。「ゼロ・アワー契約の禁止」、「最低賃金の10ポンドへの引上げ」、「労働組合法の廃止による産別団体交渉の展開」を主張していた。
 以上、サッチャーの敷いた労働・住宅市場にかかわる規制緩和路線は保守党のもとで破綻しつつあり、昨年の総選挙で明らかになったように、多くの若者はコービンを支持している。他方、孤立していた「賃貸世代」は、借家人組合による連帯のもとで都市社会運動の主体として台頭しつつある。
 





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