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2018年4月12日 (木)

Report 2018 インフルエンザ事情 ②

―― インフルエンザワクチンの製造を始める段階になって、
 この株=「A/埼玉株」は通常の工程では収率が極端に落ちてしまうことが明らかになり、例年並みの生産量を確保するのが困難になる恐れが生じたため、急遽ワクチン株を変更して、昨シーズンと同じ「A/香港株」を使用することになった。
 こうした事情から、シーズン初頭にはワクチンの供給量が不足気味になっただけでなく、卵馴化の問題への対策は棚上げされたため有効性の面でも不安を残した。米国疾病対策センター (CDC) の調査では、昨シーズンのA(H3N2)型に対するワクチンの有効性は34%だった。欧州では同17%、オーストラリアでは同10%にとどまっている。
 日本では6歳未満を対象とした検証で同38%とのデータがある。つまり、現行のワクチンを接種していても、A(H3N2)型は予防できない可能性が高いということになる。
 なぜA(H3N2)型の株だけ卵馴化によって抗原性が変異してしまうのかはまだ作用機序が解明されていない。鶏卵ではなく細胞株を使って培養する細胞培養ワクチンの開発も進んでいるが、実用化にはなお数年かかるようだ。
 一方、インフルエンザ感染の検査法として広く普及している迅速検査キットによる検査を原則として止める医療機関が増えている。休日夜間診療所などでは、多数の軽症患者にも検査を行っていると流行時には対応しきれなくなるからだ。
 また、発症12時間未満ではウイルスが鼻粘膜などで十分には増殖していないので、発症初期には検出できない上、同検査の精度には限界があり、最新の調査では感度は61.1%との報告もある。
 患者の1割が疑陰性になってしまうのでは、診断を誤らせる要因にもなりかねない。接触歴や臨床所見による基本的な診察が改めて重みを増している。





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