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2018年4月30日 (月)

Science タバコ煙の歯周組織への影響 ⑤

続き:
 実験的マウス歯周病モデル構築の予備実験に於いて、絹糸結紮後8~10日では絹糸が自然に脱離すること、7日目とそれ以降では骨吸収量に変化が認められないことから、絹糸結紮期間を7日に設定。また絹糸が脱離すると、破壊された歯周組織が治癒機転に転じ、その後10日前後経過すると絹糸結紮前と同程度の歯槽骨レベルに回復することも観察した。
 一方、喫煙者の歯周治療効果が現れにくいことは、多くの疫学的研究によって明白である。実験動物における歯周組織治療モデル、特に喫煙に関連した報告はほとんどないが、Benatti 等の報告によると、ラット歯槽骨に人工的な欠損を形成した後にラットにタバコ煙を吸入させると、対照群と比較して骨回復量が減少。
 我々も喫煙歯周病患者を想定し、実験的マウス歯周病モデルに於いて、絹糸を除去した後の歯槽骨治癒機転でニコチンを投与して、歯槽骨の治癒状態を検討した。
 まず、マウスをPBS投与群(対照群)とニコチン投与群に分けて腹腔内投与後、上顎左側第2臼歯周囲に絹糸を結紮し、結紮後7日目に絹糸を除去した。絹糸除去後に、再度ニコチンあるいはPBSを投与し、絹糸結紮除去後10日目(結紮開始から17日目)に歯周組織をマイクロCTで観察し、歯槽骨の回復量を測定。
 その結果、絹糸除去後の歯槽骨回復量は対照群と比較してニコチン投与群では有意に抑制された。すなわち、絹糸除去後のニコチン摂取は破壊された歯周組織の治癒・回復を遅滞させることが示唆された。
 我々が用いた実験系は、喫煙者が直接タバコ煙を口腔内に曝露させる経路は残念ながら考慮していない。加えて、マウス歯周病モデルやニコチンの腹腔投与は喫煙習慣を有する歯周病患者の病態を正確に反映しているわけではない。
 しかしながら、実験動物レベルでの喫煙関連歯周炎の病態形成メカニズムの解析は必要であり、ヒト喫煙者の歯周病形成に類似した動物モデルの作成が望まれる。



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