« 弱くて強い植物の話 (6) ② | トップページ | <後ろ向きに進化しよう>― ① »

2018年5月 3日 (木)

弱くて強い植物の話(6) ③

続き:
 ところが、哺乳動物の中でも果実をエサとするようになったものがある。それが我々、人類の祖先である霊長類と呼ばれるサルの仲間である。
 哺乳類は、熟した果実の赤い色を判別することができない。恐竜が闊歩していた時代、哺乳動物の祖先は恐竜の目を逃れて夜行性の生活を送っていた。
 夜の闇の中で、もっとも見えにくい色は赤色だ。そのため、夜行性の哺乳動物は、赤色を識別する能力を失ってしまったのである。
 ところが、霊長類は、哺乳類の中で唯一、赤色を識別する能力を取り戻したのだ。
 果実をエサにするために、熟した果実の色を認識することができるようになったのか、あるいは、赤色を見ることができるようになったから、果実をエサにするようになったのかは明確ではないが、こうして霊長類は、鳥と同じように熟した赤い果実を認識して、果実をエサにするようになったのである。
 やがて霊長類はヒトに進化し、文明を発達させた人類は、イネやムギなど植物の種子を食糧とするようになった。さらに、種子は移動をさせることが容易である。そのため、世界中から植物を探し出しては持ち帰り、また新天地を開拓しては種子を播いた。こうして、人間は作物や野菜や果物を栽培するようになったのである。
 しかし、どうだろう。私たちは植物を利用しているに思っているが、植物からすれば、これこそ「食べさせて運ばせる」という作戦の真髄である。人間のおかげで栽培植物は、世界中に種子を散布させることに成功した。利用しているようでいて、実は利用されているのは人間の方かも知れないのである。





« 弱くて強い植物の話 (6) ② | トップページ | <後ろ向きに進化しよう>― ① »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/413185/73416009

この記事へのトラックバック一覧です: 弱くて強い植物の話(6) ③:

« 弱くて強い植物の話 (6) ② | トップページ | <後ろ向きに進化しよう>― ① »