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2018年5月12日 (土)

「安倍事案」の泥沼 ②

続き:

 政党政治と圧力団体(利益集団)政治が一般化する現代民主制において、行政組織および公務員集団・個人には、様々な働きかけがなされる。議院内閣制の下では、各省は内閣及び大臣の指揮監視下にあるから、首相・官邸や大臣・副大臣など政務三役の指示を受けるのは当然である。

 また、内閣には国会多数派の信任が必要であるから、与党の意向を反映するのも当然である。また、社会の様々な団体の要望を聞くことも、国民や社会に対する応答性の点からも自然であるので、圧力団体が陳情するのも当たり前である。

 しかし、こうした様々な働きかけは、最終的には公平・中立性を害しない範囲で取り扱わなければならない。金銭授受の伴う贈収賄は論外としても、金銭授受のない「口利き」や「声の大きい」人への依怙贔屓も許されるものではない。

 政権与党は選挙で国民の一定部分の民意を得たとしても、国民の全ての支持を得たわけではない。文字通り、政党(party)は部分(part)でしかない。従って、「国民全体の奉仕者」であるべき多数与党は、選挙で勝利したという民意を盾に、自党派や自己の信念、自己の支持者などの部分的主張を行政に要求してはならない。政治家や団体の働きかけは、公平・中立性を害してはならないのである。

 省庁組織の上層部・幹部は主にキャリア官僚が占める。予算事業化・法案作成や国会答弁を行うのも、本省キャリア官僚である。議院内閣制の下では、国会で予算・法案が通らなければならないから、本省キャリア官僚は実は政権与党の要求には弱い。

 それが、与党内の事前審査でなされるか、各省の政務三役の政治主導でなされるか、首相・官房長官以下の官邸主導でなされるかは、与党政治家内での権力闘争でしかなく、全体として政権与党の意向に逆らいにくい。

 つまり、キャリア官僚は、政権与党の具体的指示が無くとも、政権与党の意向を忖度して行動する。その結果、行政の公平・中立性を確保するのは実は難しい。

 政権与党との接点が多いキャリア官僚は、政治家に弱い。このことは、幹部人事を官邸が掌握した内閣人事局の設置によって、強まったと言える。

 しかし、それ以前の自民党一党支配時代から一貫して続いていた現象だ。戦後日本の公務員制度は、少なくとも、自民党一党支配に順応した党派的傾向性を有する官僚制だったのである。



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