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2018年5月20日 (日)

裁量労働制について ②

続き:
 裁量労働制とは「みなし労働時間制」の一種であり、労働時間の計算を実労働時間ではなく「みなし」で行うことを認める制度。例― みなし労働時間を9時間と定めれば、実際には11時間働いたとしても、1時間分の残業代相当の手当だけを支給すればよい。
 日本労働弁護団は裁量労働制を「定額働かせ放題」と批判している、それは正に、残業代を気にしない長時間働かせることが出来てしまう制度だ、これまで違法な不払い残業であったものを合法化出来てしまう制度。
 そのため現在の労働基準法では、業務の性質上、その遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある為、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしない事とする業務に限定される。
 具体的には専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類で、今回の法律改正で拡大が狙われているのは企画業務型裁量労働制度なのだ。
 企画業務型裁量労働制は「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」を対象として、労使委員会の委員の4/5以上多数により必要事項を議決して、行政官庁に届け出る事を条件としている。
 専門業務型は1987年の労基法改正によって、企画業務型は1998年の同法の改正によって、導入。適用対象者数を厚労省は公表せず、それで、日本共産党の小池晃議員が2017年6月に国会で労働者数と事業場の数は、2014年度― 67,558人(2513事業所)、2015年度― 71,826人(2830事業所)、2016年度― 74,299人(3090事業所) と報告。
 この企画業務型裁量労働制について、働き方改革関連法案の要綱では2類型の追加が予定されていたのだ。1つは、「事業の運営に関する事項に就いて繰り返し、企画、立案、調査及び分析を主として行うと共に、これらの成果を活用し、当該事業の運営に関する事項の実施状況の把握及び評価を行う業務」である。
 もう1つは「法人である顧客の事業の運営に関する事項に就いての企画、立案、調査及び分析を主として行うと共に、これらの成果を活用し、当該顧客に対して販売又は提供する商品又は役務を専ら当該顧客のために開発して、
 当該顧客に提案する業務(主として商品の販売又は役務提供を行う事業場において当該業務を行う場合を除く。)」というものだ。
 どちらも対象範囲が曖昧で、幅広くホワイトカラーに適用されるおそれがある。嶋崎量弁護士は、前者については、「係長」や「チームリーダー」程度の者も含み、さらに広く見れば、あらゆるホワイトカラー労働者がこの適用対象に含まれると扱われる可能性があると指摘。
 後者についても嶋崎は、法人相手の営業職は、すべて対象とされると考えて良いだろう。と判断している。そして嶋崎は、このような裁量労働制の拡大をねらう意図として、現在はグレーな運用を行っている制度について、合法化する狙いがあると指摘する。一定の管理職を労基法上の管理監督者として扱って残業代ゼロとしている運営や、営業職を「事業場外みなし労働時間制」や固定残業代制度の悪用に依って残業代ゼロとしている運用が、裁量労働制の適用により合法化出来る、という悪法が狙いだ。
 裁量労働制は高度プロフェッショナル制度とは異なり年収要件も無いため、この対象拡大が実現すれば大きな影響をもたらす可能性がある。
 それにもかかわらず、否、だからこそと言うべきだろう、安倍政権は裁量労働制の拡大が働き方改革関連法案に含まれる事を、極力隠してきた。
 そもそも、この裁量労働制拡大と高度プロフェッショナル制度の創設は、2016年9月から2017年3月にかけての働き方改革実現会議では、議題にあげられて無った。その前の2015年に国会に提出されていながら審議はされず継続審議扱いになっていた労基法改正案(所謂 残業代ゼロ法案)に盛り込まれていた― そのものを2017年の8月になって、時間外労働の上限規制等と共に、1つの労基法改正案の中に統合する事が労働政策審議会で提案され、労働者代表委員の反対を押し切って9月に法案要綱にまとめられたもの。
 また2015年法案には、裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル制度の創設が盛り込まれたのも、労働者代表委員が1人もいない産業競争力会議と規制改革会議で議論されたものが2014/06/24、に「『日本再興戦略』改訂2014」として閣議決定され、政府方針として労働政策審議会に押し付けられた結果であった。





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