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2018年5月26日 (土)

どうなる!「働き方改革」 ①

澤路毅彦(朝日新聞編集委員)さんは、述べている。コピー・ペー:
 安倍晋三首相は、今年の通常国会を「働き方改革国会」と名付け、働き方改革関連法案の成立に意欲を示した。政府は当初、2月中に関連法案を閣議決定し、予算関連法案成立後の国会審議、成立というスケジュールを描いていた。しかし、裁量労働制の拡大関わるデータ問題や学校法人・森友学園への国有地売却を巡る公文書改ざん問題で国会情勢は揺れている。2918/03/26、時点で、まだ関連法案の閣議決定はされていない。
 課題は、働き方改革に関するこれまでの議論を振り返り、論点整理することにある。但し、公文書改竄問題で政権の支持率は急落している。今後の政治情勢が関連法案の行方に大きく影響する可能性があることをあらかじめお断わりしておく。
 働き方関連法案は、労働基準法、パートタイム労働法、労働者派遣法、労働契約法、労働安全衛生法、じん肺法、労働時間等設定改善法の8本の改正案を束ねたものだ。
 法案の原型は、「働き方改革実行計画」にある。首相が議長を務める「働き方改革実現会議(以下、実現会議― 略)の議論を経て、2017年2月にまとめられた。実現会議には、樋口美雄・慶応大学教授(労働政策審議会会長)、水町勇一郎・東京大学社会科学研究所教授らの有識者に加えて、榊原定征・経団連会長、三村明夫・日本商工会議所会頭、神津里季生・連合会長という労使のトップが参加したのが特徴だ。実現会議は2016年9月から10回開かれた。
 計画がまとまった後、労働政策審議会(労政審)の各分科会で議論が詰められ、2017年9月に法案要綱が示された。その後、施行時期が修正されたが、法案の大枠は変わっていない。
 実現会議がスタートした当初、「働き方改革」の目玉は、長時間労働の対策と、非正規雇用の処遇改善を目指す「同一労働同一賃金」の2つとされたいた。前者は労働基準法、後者はパートタイム労働法、労働者派遣法、労働契約法の改正に関わっている。
 労働基準法改正案に盛り込まれた長時間対策の重要なポイントは、時間外労働の罰則付き上限規制だ。
 今でも労働基準法には1日8時間、1週40時間という労働時間の上限がある。この法定労働時間を超えて働かせることは、原則として違法とされる。但し、過半数労働組合や職場の過半数を代表する者と労使協定を結び、労働基準監督署に届ければ、法定労働時間を超えて働かせることが出来る。
 この労使協定は労働基準法三六条に定められているため、三六(サブロク)協定と呼ばれる。
 三六協定を定める場合でも、時間外労働の上限を月45時間、年360時間とする大臣告示がある。ただ、この大臣告示に法的拘束力は無い。また、業務が繁忙であるなど特別な事情がある場合には、この上限を超えてもいいことになっている。これを特別条項といい、特別条項には上限がない。日本の労働時間規制が事実上青天井になっているとしばしば指摘されるのは、こうした理由による。
 改正案では、労使が協定を結んでも上回ることができない時間外労働の上限を罰則付きで定める。原則は月45時間、年360時間だ。繁忙期などには例外で許されるが、その場合でも年間の上限を720時間とし、1ヵ月当たりの上限も単月100未満、2~6カ月平均で80時間以下とする。例外が許されるのは、年間6回、つまり6カ月に限る。
 時間外労働に上限を導入する歴史的意義を強調する指摘がある一方で、改正案内容には批判も根強い。
 大きな論点は、例外の単月100時間未満、3~6カ月平均80時間以下という上限が、長時間労働対策として十分か、という点だ。100時間、80時間という数字は、現在の脳・心臓疾患の過労死認定基準が根拠になっている。
 この為、過労死・過労自殺の遺族からは、「過労死する水準を法律で認めることになる」という声が上がっている。
 技術的な課題も残っている。原則と例外が規制している対象が異なっている点だ。原則は現在の大臣告示をそのまま使っているため、本来の時間外労働だけしか規制対象としない。一方、例外の単月、2~6カ月平均の上限に使われた過労死認定基準の数字は、休日労働も含んでいる。このため、休日労働も含めると、理論上は、毎月80時間、年間960時間迄法定労働時間を超えて働かせてもいい事になってしまうのだ。





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