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2018年6月21日 (木)

Clinical 歯科診療における緊急時の対応 ⑦

続き:
※ 救急医療機関に搬送(緊急通報)する必要がある状況
心停止
   心肺蘇生→救急医療機関に搬送
アナフィラキシー
   アドレナリンを成人で0.3mg小児では0,15mgを筋肉内注射→救急医療機関に搬送
気道閉鎖(異物による)
   異物除去と気道確保(気道開通できなければ救急医療機関に搬送)
脳卒中の疑い
   救急医療機関に搬送
心疾患の急性増悪の疑い
   救急医療機関に搬送
喘息の重積発作
   持参薬の吸入(吸入薬で症状が軽減しなければ救急医療機関に搬送)
痙攣の持続(5分以上)
   救急医療機関に搬送
※ 意識がある、又は正常呼吸がある場合の初動対応
応援
   スタッフを集める、生体情報モニタのセットの指示、酸素投与を指示
生体情報のセット
   脈拍、血圧、酸素飽和度、心電図の評価
体位
   水平位または、患者が楽な体位(姿勢)
酸素投与
   フェイスマスクで毎分3~5L 程度で投与
3) 緊急時の記録
 緊急時の対応中に記録しておき、後でそれをまとめてカルテに記載しておく必要がある。その内容は、時刻、患者の症状・所見、バイタルサイン等の変化(生体情報モニタのデータ)、考えられる原因、および処置内容である。
 しかし、これらの内容をカルテに記載するのは、状況が落ち着いてから、スタッフ全員で内容を確認してカルテに時系列に従がって記載することが勧められる。また、生体情報モニタに保存されているデータはそのまま記録になるが、日頃より生体情報モニタの時刻は正確に合わせておく必要がある。
※ 緊急時の記録
時刻(○時○分)
   状態が急変した時刻、バイタルサインを評価した時刻、処置をした時刻、
   状態に変化があれば→その時刻、救急医療機関に搬送した時刻
患者の症状・所見
   急変時の症状・所見、症状・所見の変化
バイタルサイン等の変化(生体情報モニタのデータ)
   急変時の意識・呼吸・脈の有無、5分ごとの脈拍・血圧・酸素飽和度の値
考えられる原因
   考えられる原因とその根拠
処置内容
   処置内容と反応
6. 緊急時に適切に対応できるための備え
 日々の歯科診療で緊急に対応が必要な偶発症が発症するのは非常に稀であり、実際に遭遇する機会もほとんどないと考えられる。しかし、まさに災害対策と同様であり、知識と技能を定期的にアップデートし、日頃からの備えを万全にしておく必要がある。
 備えとして、医療安全管理に関する講演会への参加は重要である。同じ内容であっても、何度も繰り返し定期的に開くことが大切で、スタッフ全員が参加することも重要である。医療安全管理に関する講習会には、歯科医師会が主催するもの、学会などが主催するものがある。例えば日本歯科医師会と日本歯科麻酔学会との共催で、「バイタルサインセミナー」が開催されている。また、一次救命処置(BLS)は定期的に受講し、さらに歯科医師だけでなく、スタッフも受講することが勧められる。マネキンを使用して、胸骨圧迫、気道確保、人工呼吸を実践し、訓練用のAEDを操作することで、現場で一次救命処置(BLS)を躊躇せず行うことが期待できる。さらに、歯科医院内で診療時間外にスタッフが模擬患者になり、緊急時のシミュレーション訓練をしておくことも有効だと考えられる。いずれも、スタッフ全員が緊急時にそれぞれの役割を果たせるよう、日頃から備えていくことが大切である。
 
   




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