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2018年6月12日 (火)

Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ⑥

続き:
9) ビッグデータと AI の応用
 人工知能 (AI) の発達は加速度的で、ある分野ではすでに人間の能力を超えている。これを、がん診断支援に応用しているのが、IBM の Watson for Oncology である。
 IBM Watson は人と同じように外からの情報から知識を習得して、様々な領域の専門家の経験を伝承して、人の意思決定を支援するシステムである。
 医療分野では、がんの診断支援、創薬研究のクリニカルトライアルマッチングなどが具現化され、ゲノム医療も研究開発されている。
 Watson for Oncology はスローンケタリング記念がんセンターの協力のもと開発されたシステムで、がんの治療選択肢を提供するために、医療記録から膨大な構造化および非構造化データを抽出して評価することができ、現状では乳がん、肺がん、大腸がんに推奨される治療法を提供。
 日本でも2016年に、特殊な白血病患者をわずか10分で診断してその実力が話題になった。Watsonは膨大な量の論文を学習して、すべての医療情報を把握して判断することで医師の支援を行い適切な診断に導く。
 膨大な数の顔面骨格のデジタルデータを収集することで、男性や女性、成人や子供、人種などさまざまな人の顔の形を標準化することも可能になり、
 例、これを重度の顔面外傷や多発骨折などの再建手術の基準として応用することができる。採取された画像のビッグデータはAI化して発展することにより、
 CTやMRIの自動診断のみならず、口腔がんなどの粘膜病変の発見と診断、病理組織診断などにも応用されていくものと思われる。
 デジタルテクノロジーの急速な発展により、医療技術や手術手技は新たなステージに入ろうとしている。
 今後は再生医療やナノテクノロジー、遺伝子工学などを応用した医療技術との融合や、データの蓄積により AI を用いた診断や治療法の選択などが、さらに、一般化していくものと思われる。
 本来、デジタルテクノロジーとは人とものをつなぐ手段であり、従来の人間の手技に完全に取って変わるものではないが、AI の発達とともにその境目は分かりにくくなっていくかも知れない。
 われわれは、このような状況を注視しつつ、それらを踏まえた新たな発想や対応が求められている。





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