« Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ④ | トップページ | Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ⑥ »

2018年6月10日 (日)

Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ⑤ 

続き:
5) カスタムメイド医療
 従来、顎骨腫瘍の切除後に、既成のものを屈曲していた顎骨再建プレートは、3Dシミュレーションを基に、症例に合わせて作製することが可能となった。手術前や手術室で作っていた手間が無く、より適合性が良いものが術前に作製される。
 現在、欧米では3D金属プリンターを用いた再建プレートが製品化されているが、わが国ではまだ認可されていない。今後は、再生医療と組み合わせることにより、再生顎骨や再生粘膜など含めたカスタムメイド医療が期待される。
6) バーチャルリアリティー (VR)
 ウェアラブルデバイスの中でもウェアラブルディスプレイと呼ばれるメガネ型のディスプレイは、VR(Virtual Reality ; 仮想現実)や現実に仮想現実を掛け合わせる AR(Augmented Reality : 拡張現実)などを、目の前にあるかのように見せる機器としてゲームやアミューズメントパーク等でもお馴染みになっているが、
 これを医療に用いる試みも様々な角度から行われている。内視鏡の端末として用いることで、従来術野と離れた位置にあるモニターを見て操作していた内視鏡や腹腔鏡の映像が眼前に見えるようになる。
 さらに半透明性のディスプレイを用いたホロスコープによる術野とCT画像などを重ね合わせる方法も研究されている。
7) 歯科医学教育、臨床研修への応用
 歯科医学教育としては、感染根管治療などの歯科臨床実習を、VRやARを用いてシミュレーションする装置も開発されてきている。また、解剖実習の所見が、タブレットを用いて段階的に確認できるソフトなどもオンラインで手に入れることができる。人体の内部が正に手に取る様に理解できる。
 また Le Fort Ⅰ型骨切り術などの手術手順を、インタラクティブな要素も加えて、初心者や手術補助者も分かりやすく確認できるソフトもある。
 以前、筆者(高野)たちが3Dハイビジョンで撮影した手術の画像を研修医や研修中の歯科医師に見せたところ、多くの者がそのリアル効果に驚き、手術手技の習得に有効だと答えた。
8) ロボットサージェリー
 ロボットサージェリーといえばダ・ヴィンチ(da Vinci) という手術支援ロボットを思い起こされる人たちも多いだろう。これはアメリカで開発され、1999年に一般にも販売された。
 1~2cmの小さな創から内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、高度な内視鏡手術を可能にする。術者は3Dのモニター画面を見ながらあたかも術野に手を入れているようにロボットアームを操作して手術を行うことができる。しかし、他の機器を含めて用いられているロボットアームには、感覚、手応えというものがない。筆者たちは、処置や手術をする時に、病変の硬さや弾力、凹凸等を手の感触として感じながら繊細な手の動きを行っているわけだが、手術支援ロボットではこの感覚がないため、微細な動きは実現できても手応えを瞬時にフィードバックして行うことはできない。
 この、人の感覚のなかで最後までデジタル化できなかった触覚をデジタル化して、医療に応用するという試みも始まっている。
 慶応義塾大学の大西公平教授らのチームは、遠隔地でも微細な感覚を感じながらインプラントなどの手術が行える Haptic robot の開発を研究している。





« Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ④ | トップページ | Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ⑥ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/413185/73656238

この記事へのトラックバック一覧です: Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ⑤ :

« Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ④ | トップページ | Science デジタルテクノロジーの潮流と歯科・口腔外科分野への応用 ⑥ »