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2018年7月 6日 (金)

Clinical tooth wear の病態と治療指針 ②

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2、 tooth wear の種類
 tooth wear についての明確な定義はないが、ここでは、①咬耗、②酸蝕、③摩耗、④アブフラクションによる歯の実質欠損の総称とする。臨床的にはこれらのファクターが複合的に作用して、歯の実質欠損が形成されることが多いが、主原因を特定あるいは予測することは、tooth wear の進行抑制や予防に必須である。
 う蝕や歯周病と同様に、tooth wear についても初期の変化を見逃さずに対応することで、その進行を制御することができる。進行して問題が生じてから対応するのではなく、適切な診断によりその主原因を特定して、早期に対策を講じることが必要である。
1)咬耗
 歯と歯の接触によって生じる tooth wear であり、日常的に徐々に進行する。正常な機能下では歯と歯の接触は極めて短時間であり、食事以外の歯の接触、すなわちブラキシズムが咬耗を特に進行させる主原因と考えられる。
 軽度の咬耗では、臼歯の咬合面、特に咬頭や斜面にファセットが形成され、次いで前歯の切縁にも咬耗が生じる。上下額の咬耗量は異なることが多いが、歯の動揺度の違いや、酸蝕の影響等によると考えられる。進行すると象牙質が露出し、知覚過敏症や象牙質部の着色を伴うこともある。
 一般的には、上下額歯のファセットの一致、金属修復物のファセットの光沢感、エナメル質と象牙質が同等に摩耗、修復物やエナメル質の小破折といった特徴がみられる。
 純粋な咬耗であれば、エナメル質と象牙質は同等の咬合面を形成するが、臨床的には象牙質の表層にう蝕が発生したり、象牙質部が陥凹していることが多い。このような状態になると、単に咬耗による tooth wear とは言えず、う蝕、酸蝕、咀嚼による摩耗などと多くのファクターが関連していると考えるのが妥当である。
 このような象牙質部の陥凹は対合歯との接触がなくても進行し、この陥凹が大きくなると、周囲のエナメル質の破折が起き、歯質の崩壊は一層進展していく。
 臼歯の咬耗が進行すると、咬合面全体が平坦化し、咀嚼時の食物の遁路となる裂溝が消失するため、歯に強い圧がかかるようになり、歯冠部に亀裂や破折を生じるリスクが高くなると考えられる。
 近年TCH (tooth contacting habit)という習癖について、1日に20分を超えて上下の歯を接触あせたり強くかんでいるような状態として定義され、顎関節症との関連で注目されている。こうした習癖も、咬耗をはじめとした tooth wear の原因になりうると考えられるので、診断に際しては TCH についても考慮する必要である。
2)摩耗
 歯頸部に浅く広範囲に境界不明瞭な欠損として認められることが多い。この欠損が形成される機序は明らかではないが、歯ブラシによる摩耗や酸蝕が関与していると思われる。さらに象牙質が露出していると、プラークが付着し易くなり、う蝕が生じることがある。う蝕が生じていなくても、プラークが付着すれば歯の表面の軽度の脱灰により軟化するので、歯磨きによって歯質は摩耗し、 tooth wear は進行すると考えられる。
 多くは犬歯から小臼歯の唇頬側歯頸部に発現するが、前歯や大臼歯にも、また舌側や口蓋側にも発現することがある。
 




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