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2018年7月 5日 (木)

Clinical tooth wear の病態と治療指針 ①

田上順次(東京医科歯科大学大学院教授)さんの研究文を載せる コピー・ペー:
はじめに
 う蝕及び歯周病の予防や治療法の普及により、長期間歯を維持させることが可能になった。さらに長寿命化が進み、う蝕による脱灰ではなく咬耗・摩耗により歯の硬組織の崩壊が長期間かけて徐々に消えて失ってしまう。
 いわゆる tooth wear(トゥースウエア) による歯質の崩壊が、新たに問題になってきた。このような硬組織の崩壊は機能的な障害だけでなく、審美性の低下や、知覚過敏症などの歯髄症状を引き起こすこともあり、予防とともに適切な治療が必要。
 tooth wear は97%以上の人々が罹患しており、そのうち約7%は治療を必要とする病的状態にあるとされている。
 必要とされる主な歯科治療は、修復治療、知覚過敏症に対する処置、歯髄処置であるが、これらは対症療法だ。
 tooth wear は歯が有る限り不可逆的に進行していく現象であるので、個々の患者のリスクを改善し進行抑制が重要である。
 特に高齢化と口腔衛生の向上等で著しく進行した tooth wear により生じる問題は、今後さらに増加すると思われる。
 歯科領域における2大疾患はう蝕と歯周病であるが、これが、第3の歯科疾患として tooth wear を位置づける必要がある。
1、 加齢による歯の形態変化
  tooth wear を考えるうえで、加齢による一般的な歯の形態変化を理解しておくべきだ。
 前歯では、萌出後から10代の場合には、発育葉、唇面溝、唇面の隆起、切縁結節等の歯の解剖学的な特徴が観察される。またミクロ的な表面の解剖学的形態としての周波条による微細な凹凸構造も観察されることが多い。
 30代になると切縁は直線的になり、唇面溝や隆起はなだらかになるとともに、表面の微細な凹凸構造は消失し、滑沢な様相となる。全体的な印象としては凹凸の少ない扁平な外観を呈するようになる。
 50代になるとさらに切縁は直線的となり、唇面もより平坦な形態になる。切縁が薄くなり、エナメル質の透明感が増し切縁部は暗い色調になることも多い。
 さらに高齢になると、切縁部だけでなく、唇面で象牙質が露出することもあり、切縁部での小破折により、切縁部の凹凸がみられることも多い。また歯肉縁の根尖側への移動により歯頸部や歯根部の露出が起こり、歯頸部での欠損が多発するようになる。
 臼歯部においては、 Lambrechts らの報告によると、大臼歯の咬合面において咬頭部のエナメル質は1年間に約30μm 消失するとされている。第一大臼歯で考えてみると、60年間で約 1800 μm のエナメル質が消えて失ったことになる。咬合面でこれだけのエナメル質が消失すると、象牙質が露出するようになる。露出した象牙質部はエナメル質よりも早く消失し陥凹が形成されやすくなる。さらに周囲のエナメル質が小破折を起こしながら、咬合面の歯質はさらに消失していくと考えられる。
 こうした歯の一般的な形態変化を tooth wear ということもできるが、原因を考えてみると、咬耗、酸蝕、摩耗のほか歯質の小破折等が複合的に関連している。






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