« 命を作る科学技術の制御という課題 ⑦ | トップページ | 命を作る科学技術の制御という課題 ⑨ »

2018年7月25日 (水)

命を作る科学技術の制御という課題 ⑧

続き:
 2015年8月に厚労省が出した「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」では、「ヒトの生殖細胞又は胚……の遺伝的改変がもたらされるおそれのある遺伝子治療等臨床研究は、行ってはならない」としている。
 つまり、難病治療等につながる研究ではあっても臨床研究が禁止されているとすれば、将来的にも臨床的に用いられることはないはずである。
 ところが、「『ヒト胚の取扱いに関する基本的な考え方』見直し等に係るタスク・フォース 報告書(第1次報告)」では、そのような臨床応用が将来的にありうるかのような記述になっている。
 先に引いた香川知晶の論考は、以上の「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」の一節を引き、中国中山大学のヒト受精卵(ヒト胚)へのゲノム編集について次のように述べている。
  このように、ヒトの生殖系列細胞の遺伝子改変については禁止というのが国際的な了解であると思われてきた。遺伝子改変の影響がその個体に留まる体細胞の場合とは違って、生殖系列細胞の遺伝子改変では影響が次世代以降に及ぶ可能性がある。
  生殖系列細胞の遺伝子改変はいわゆるエンハンスメントをはじめ、人類改造に直結している。そのため、国際的に禁止の方向で考えられてきたのである。そうしたタブーを中山大学のチームの報告はあっさりと破るものだった。(59p)
 基礎的研究であっても臨床応用を前提とした研究であることは明らかだからである。香川は、世界の科学者らはこの「衝撃」が来ることを予想して、2015年の早い段階から慎重にことを進めるよう、意見表明を行なってきたことを示している。
 2015/03/12、の『ネイチャー・ニュース』には再生医療協会代表のエドワード・ランフィアや第2世代ゲノム編集TALENの開発者の1人であるフョードル・イワノフらが「ヒト生殖系列を編集するな」というコメントを掲載した。
 また、2015/03/19、には『サイエンス』電子版に、「遺伝子工学と生殖系列遺伝子改変のこれからに慎重な道筋を」という意見が掲載された。
 こちらは、クリスパー・キャス 9 の開発者ダウドナ、ノーベル賞受賞者である分子生物学者、デイヴィッド・ボルティモア、ポール・バーグら18人が名前を連ねている。
 さらに、このボルティモアとバーグらが中心となって2015年12月に米国ワシントン市で国際会議「ヒト遺伝子編集国際サミット」が開かれた。
 





« 命を作る科学技術の制御という課題 ⑦ | トップページ | 命を作る科学技術の制御という課題 ⑨ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/413185/73918881

この記事へのトラックバック一覧です: 命を作る科学技術の制御という課題 ⑧:

« 命を作る科学技術の制御という課題 ⑦ | トップページ | 命を作る科学技術の制御という課題 ⑨ »