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2018年7月18日 (水)

命を作る科学技術の制御という課題 ①

島薗 進(上智大学特任教授・同グリーフケア研究所所長)さんの論文をコピー・ペー:
 2018/03/09、『日本経済新聞』には、受精卵ゲノム編集の研究について、次のように報じている。
  内閣府の生命倫理専門調査会は9日、遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集技術でヒトの受精卵を操作する基礎研究について、総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)への報告書案をまとめた。生殖補助医療を目的とする基礎研究の指針を国が作ることを求めた。現時点では医療応用は容認できないとした。早ければ2018年度内にも受精卵ゲノム編集の基礎研究が解禁される見通しだ。
 この記事では、受精卵(ヒト胚)ゲノム編集の基礎研究がすぐにもスタートしそうに感じられる。次の部分はとくに速度が速い予測だ。
 「今後、同会議の決定を経て、文科省と厚労省が指針策定に乗り出す。指針はまず生殖補助医療に限って受精卵をゲノム編集で操作する基礎研究を認め、その後、難病や遺伝病、がんなどに範囲を広げる」。
 受精卵ゲノム編集が、難病や遺伝病の治療に用いられるのが間近であるかのような報道だ。そうであるとすれば、倫理的に重大な決断が既になされたことになるだろう。
 実際には、生命倫理専門調査会の動きはそれほど早くないようだ。まずは、2017年12月に「『ヒト胚の取り扱いに関する基本的考え方』見直し等に係るタスク・フォース報告書(第一次報告)」が出された。
 この報告書は「生殖細胞医療研究」に限定したもので、2018年5月の段階では、その先の動きは見えていない。それにしても、受精卵へのゲノム編集を許可するとすれば、重い倫理上の問題について大きな一歩を進めたことになる。
 このような報告書が出されるようになった背景には、「ゲノム編集」という科学技術の急速な進展がある。生物の遺伝子の一部の入れ替えを可能にするたいへん効果的な科学技術が開発された。
   ZFN(ジンクフィンガー・ヌクレアーゼ)、
   TALEN(タレン)、
   CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス 9)
 という新たなゲノム編集技術で、これまでより格段に高い効率で遺伝子の組み換えを達成できる可能性がある。2012年に公表された後、植物、動物のゲノム編集は既に急速に拡がっている。

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