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2018年7月27日 (金)

命を作る科学技術の制御という課題 ⑩

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 しかし、これは結局、①②の問題がある程度、解決されるようになるうちには、一般社会の合意を形成し、生殖系列細胞へのゲノム編集の臨床利用にも道をあけることを匂わせたものではないか。
 そうだとすれば、日本の生命倫理専門調査会の立場と大差ないものと言わなくてはならないだろう。
 どちらにも言えることは、重大な人類史的な倫理課題であるにもかかわらず、当該領域の科学者が先導して方向づけがなされていることだ。倫理への言及は先端科学推進のための地ならしという動機がすけてみえるものである。
 このような討議が研究を進めていこうとすれば、結局は倫理が置いてきぼりにされることになる。倫理が科学技術の進展に追いつかないのだ。
 このような事態は、現在の科学技術に広くゆきわたっている。 AI の開発や合成生物学といった領域でも倫理的な問題が人々に知られ、その倫理的な問題性が十分に問われるようになる前に、許容・推進の姿勢が決められてしまっている。
 ゲノム編集ではこのように「倫理が科学技術の進展に追いつかない」事態が、現在、眼前で分かりやすく展開している。
 その背後には新自由主義的な世界の政治経済秩序に規定された科学政策があり、科学者の「止めることができない」研究推進の姿勢があるのだ。
 人類社会は「責任」という言葉を忘れたかと問わざるをえない事態である。





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