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2018年8月 5日 (日)

Clinical がん歯科支持療法 ⑤

続き:
3) 歯科治療をどこまで行うべきか?
 がん支持療法でもっとも優先すべきなのは、これから行われるがん治療の妨げとなる歯科的な問題点を解決すること。
 例えば、乳がんに対して手術が予定されている場合、がん薬物療法を行う場合と比較して歯科治療の緊急度は低い。具体例として、炎症症状の無い残根歯に対する歯科処置を挙げる。がん薬物療法が予定されている場合は、がん治療開始前までに抜歯しておくことが推奨される。
 一方で、診療時間が限られている術前の場合はクリーニングを優先させ、がん治療後に抜歯を行う方針をとることも多い。
<実施内容>
  ①基本歯周検査を含む口腔内診査
   口腔内を評価する(動揺歯なども)
  ②スケーリング
   歯石を除去し、セルフケアしやすい口腔環境を準備する
  ③口腔衛生指導(セルフケア指導)
   歯ブラシを使用した歯面清掃、スポンジブラシを使用した粘膜面清掃、義歯を使
   用していればその清掃、管理方法を指導する。
 また、治療開始前の口腔評価だけでなく、患者QOLを考えた歯科治療を行うことが大切である。この点を理解していないと、合併症リスクがない、または軽度の場合でも、不用心な歯科治療を過剰に行うことになる。
 例えば、ビスフォスフォネート製剤投与前の口腔診査時に、X線で根尖に透過像を認める場合に、抜歯するかどうかの判断が問題となる。抜歯をすることでかえってがん治療の開始を遅れさせてしまう場合や、抜歯による欠損で食事困難となり、QOLが著しく低下する場合もある。
 歯科感染源のリスクを正しく評価した上で、患者の全身状態や原病の状況、生命予後に合わせ、抜歯するか否かの対応を変える必要がある。
 場合依っては、抜歯よりも原病治療を優先させた方が患者予後に有益な症例がある。繰り返すが、がん治療時の口腔管理で行う事前歯科処置は、リスク評価結果に加えて、患者の全身状態・予後、それに対するがん治療の優先度を考慮して行う必要がある。
    治療別の歯性感染源リスク
 高リスク群
        (心臓血管外科手術・臓器移植・造血群細胞移植) 
   ◍ 歯性感染源が命に関わる合併症に関連する。
 中リスク群
        (頭頸部放射線治療・骨吸収抑制薬・食道/頭頸部手術
        高齢者手術・血管新生阻害薬)
   ◍ 歯性感染源に対する治療中/後の処置が困難
   ◍ 歯性感染源が治療中/後の重度合併症に関連する。
 低リスク群
        (一般化学療法・一般手術)
   ◍ 治療中/後でも、歯性感染源への対応が可能
             とまとめた。
   




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