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2018年8月 3日 (金)

Clinical がん歯科支持療法 ③

続き:
2. がん歯科支持療法について
 がん治療に伴う副作用・合併症はさまざまな部位で生じるが、口腔合併症はがん治療の延期・中断の一因となる。
 一方で、その症状はがん患者の療養生活の質を低下させる要因でもある。口腔は最も合併症の出現頻度が高い部位の一つで、程度・種類に差異はあるものの、いずれのがん治療においても口腔合併症が引き起こされる。
           がん治療に伴う口腔合併症
   ①手術― 創部感染、術後感染、動揺歯による挿管時トラブル
   ②抗がん剤治療― 口腔粘膜炎、口腔カンジダ症、口腔ヘルペス、歯性感染症
     の増悪、味覚障害、ドライマウス、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死
   ③放射線治療― 口腔粘膜炎、唾液腺機能障害(ドライマウス)、味覚障害、
     放射線性う蝕、放射線性顎骨壊死、軟組織壊死、開口障害
   ④終末期― ドライマウス、口腔カンジダ症、誤嚥性肺炎、義歯不適合、口臭
     口腔不衛生
 一例として、口腔粘膜炎は、抗がん剤治療を受ける患者の40%、造血幹細胞移植に伴う骨髄破壊的ながん薬物療法を受ける患者の80%、頭頸部放射線治療を受ける患者の100%に起こる。
 口腔粘膜炎による疼痛は食事や会話といった日常生活に直接支障をきたし、患者のQOLを大きく低下させることになる。その他の口腔合併症も口腔へ直接・間接的に影響を与え、自浄作用の低下や口腔汚染をもたらす。
 その結果として、がん治療中の患者の口腔環境の悪化は避けられない。全身合併症である骨髄抑制・免疫抑制も、歯性感染症の増悪因子である。
 がん歯科支持療法は、口腔汚染および歯性感染源に対してアプローチができる歯科専門家が口からがん患者とその生活を支えるものであり、医師・看護師からの期待はますます大きくなってきている。積極的に口腔内を清潔に保つことは、がん治療による口腔合併症の重症化を軽減させる。
 かってはこの認識がなく、口腔管理が行われないままがん治療が実施されていた。現在では、がん治療に伴う口腔合併症対策としての口腔ケアの有用性が、医師や看護師にも広く認識されている。良好な口腔衛生状態の維持は、口腔合併症の予防につながり、がん治療の円滑な実施と患者管理につながっている。
 また、口腔合併症による症状を緩和することは、日常生活を送るための支援となる。痛みや辛い症状を緩和し、口から食事を摂れるようにサポートすることは、療養中の患者QOLを維持するために、必須ともいえる。




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