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2018年8月 4日 (土)

Clinical がん歯科支持療法 ④

続き:
3. 歯科支持療法の実践のポイント
1) 歯科支持療法についてベースとなる考え方
 「歯科疾患を治す、副作用を起こさない」ことが主目的ではない。がん治療では、治療が望めない進行がんに対して、がんを制御して生活を維持するための姑息的治療を行っている患者も沢山いる。
 その状況で、がん患者の日常生活を考えずに、感染源を除去すること、歯を治すことに固執することは意味をなさない。歯科従事者が行うのは、がん患者が自分らしい療法生活お送ることができるように、歯科的なアプローチで日常生活を支えることだ。
 口腔合併症の予防処置を行ったとしても、治療中に合併症が発症してしまうことは十分にある。口腔合併症が発症することを想定した上で、患者を支える計画を立て、対処法についても事前にアドバイスしておくことが重要。
 具体例として、「こうすれば、副作用が起こりません」という説明内容はあまり適切ではない。「できるだけ副作用がひどくならないように、セルフケアを行いましょう」、「もし副作用が起こってしまったら、できる範囲での対処でかまいません。吐き気で、歯磨きができないときは洗口だけでも行いましょう」と、合併症の発症時にどう対処すべきかを説明する。
 患者が日常生活を自分らしく過ごせるように支援することが目的であるため、否定的な言葉を使用しないよう留意する。患者のアドヒアランス(患者が治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受けること)を向上させることがもっとも大切である。
 医療従事者は、患者の指導の受け入れ、やる気を理解し、自分でできるセルフケアから指導する必要がある。杓子定規に指導しても、実際にケアが行われなければ意味がない。個々の患者に合わせた指導が求められる。介入を継続することで、徐々にセルフケア能力を向上させ、患者自身にあったケア方法を確立することが目標である。
2) 歯科支持療法の予防的な処置
 一つ目は、「スクリーニング(歯科検診)」であり、がん治療開始前に、う蝕や歯周病、義歯不適合等の治療中にトラブルを起こしうる歯科的リスク因子を診査する。必要に応じて感染源となりうるリスク因子を除去することにより、歯科疾患に由来するがん治療中の感染症リスクを低下させる。
 口腔内診査によるリスク評価は歯科医師にしか行う事ができず、がん治療における歯科の重要な役割である。
 二つ目は、「スケーリング(口腔ケア)」であり、がん治療中の口腔内環境を良好な衛生状態に維持することで、口腔汚染に由来する感染症や合併症を予防。さまざまな要因から、がん患者はドライマウス状態になりやすく、自浄作用の低下と口腔汚染が起こる。絶飲食や義歯使用の制限等の医学管理上の理由から、口腔汚染が進むこともある。
 口腔汚染は局所の粘膜感染だけでなく、敗血症、肺炎などの全身疾患の原因となることもよく知られている。そのため、患者自身にセルフケアを行ってもらうことが特に重要となる。
          < 3) 歯科治療をどこまで行うべきか? >   続く
 




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