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2018年8月29日 (水)

Clinical MTA(穿孔封鎖材)臨床応用 ①

小林千尋(ソウデンタルオフィス顧問 歯学博士)さんの研究文をコピー・ペー:
   はじめに
 MTA (Mineral Trioxide Aggregate)は3つの酸化物の混合物であり、水で練ると非常の硬く硬化する。
 物性は工業的に用いられる建築用セメントに近く、偶発的穿孔部の封鎖材として用いられることが多かった。
 1998年に米国の Dentsply Tulsa Dental(現デンツプライシロナ)より ProRoot MTA (Proroot MTA Gray : GMTAと論文は省略されることが多い)という灰色の MTA が市販され、その後、2002年歯質の黒変を避けるために鉄分を除去した白色の Pro-Root MTA White (WMTA) が同社より市販された。
 国内では2007年に、WMTA のみがデンツプライ三金(現 デンツプライシロナ)より発売されている。
 非常に高価ではあるが、偶発的穿孔の症例に広く用いられ臨床成績が非常に良好だったため、広く世界に普及した。現在では、偶発的穿孔の他、逆根管充填、直接覆髄、アペキシフィケーション、根管充填などに用いられている。最近では、根管充填への応用が拡大しつつある。
 1. MTA の組成
  MTA は、基本的にポートランドセメント(建築用の普通セメント、以後 PC )に造影剤として酸化ビスマスを加えたものである。製造費用に比べ付加価値が非常に大きいので、世界各地で各種の模倣品、改良品が開発されている。
※ PC 成分の特性比較
                    早期強度   長期強度   水和発熱
 ケイ酸三カルシウム        大        大       大
 ケイ酸二カルシウム        小        大       小
 カルシウムアルミネート      中        小     極めて大
 カルシウムアルミノフェライト   小        小       中
                    化学抵抗性        乾燥収縮
 ケイ酸三カルシウム        中               中
 ケイ酸二カルシウム        大               小
 カルシウムアルミネート      小               大
 カルシウムアルミノフェライト   中               小
 2. MTAの物理的性質
 1) MTAの硬化について
  MTAは、通常の歯科用セメントの硬化と異なり、水和により硬化する。水和は非常に長い時間をかけて進行する現象であるので(図 略)、臨床的に要求されるような短時間でMTAが安定した構造物になることを期待するのは基本的に無理である。また、MTAの水和には想像以上に多くの水が要求される。水の不足により十分に硬化しないという失敗が臨床的にはよく生じる、
  また、水の存在下でも硬化するというのはMTAの最も優れている特徴の一つであるが、PC とは異なり非常に使用量が少ないので、局所での少しの条件の違いが、局所に不十分な水和物を作りやすく、漏洩の原因となる可能性がある。
(1) PCの硬化機構
  PCに水を加えて練り混ぜたペーストは2~3時間で凝結(凝析)を迎え、流動性を失い変形できない状態になる。強度は1日以降に発現し始め、3か月後に最終に近い強度を発現する。
(2) MTAの硬化に及ぼす組織液・血液の影響
  MTAの充填物の一方は必ず、組織液、血液、唾液などに接する。
  具体的には、穿孔部、外科的処置の場合には血液、根管充填では組織液に接することが多い。したがって、混水比の高い(水の多い)泥状の練和物ではすぐに窩洞から流出してしまう。特に外科処置に際し、止血が不十分だとその恐れが強い。
  そこでそのような条件下でもしっかりと硬化し必要な強度を得るためには、少なめの水が望ましい。





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