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2018年8月17日 (金)

ビットコインの展望 ②

続き:
2 「通貨の三大機能」からみたビットコインの将来性
 こうしたビットコインの根底にある思想について理解したうえで、次に、そもそもビットコインは、円や米ドルなどの法定通貨を脅かすような「通貨」になりうるのかどうかに就いて考えてみたい。
 従来から、通貨には、大別して、三つの機能があるものとされてきた。それは、①一般的交換手段(モノやサービスを手に入れる機能)、②価値の尺度(モノやサービスの価値を客観的に表す機能)、③価値の保蔵手段(将来に備えて価値を蓄えておく機能)、の三つである。
 これらの三つの観点~機能と将来性に就いて。
(1) 「一般的交換手段」としてのビットコイン
 「一般的交換手段」としての機能は、―― 「おカネとしての機能」で、決済手段や交換手段としての機能とも呼ばれる。しかし、現在、ビットコインを交換手段(おカネ)として利用している人は、ごく限定的である。
 ①通貨から資産への変質
 これには、ビットコインに内在する仕組みが、その原因の一つとなっている。ビットコインには、2100万BTCという発行上限が予め定められている。サトシ・ナカモトがこうした発行上限を設けたのは、貨幣発行量の増加によるインフレ(通貨の値下がり)防止のためであったものとされている。そして、ビットコインの新規発行量は、この上限に向けて、4年毎に半減していく仕組みになっている。
 ビットコインに対する需要が増加(または一定)する中で、将来の供給が減少していけば、需要と供給の関係から、必然的に値上がりするしかない。そのように考えた人々が、需給ひっ迫による値上がり期待から群がるように買っているのが実態だ。
 いずれ値上がりすると思っていれば、誰も日々の支払いに使おうとはしない。つまり「明日値上がりすると思うものは、誰も今日の支払いには使わない」のである。
 このため、ビットコインは、交換手段(おカネ)としてはほとんど使われなくなっており、「投機用の資産」へと変質してしまっている。ビットコインの性格は、「通貨」~「資産」へと大きく変容しているのである。
 最近では、「仮想通貨」ではなく「仮想資産」(バーチャル・アセット)と呼ばれるようになっている。先に述べたブエノスアイレスG20でも、共同声明の中で、もはや仮想通貨ではなく「暗号資産」(クリプト・アセット)と呼ぶべきであるとしている。
 ②高いボラティリティ
 こうした値上がり期待に加えて、ビットコインの価格の乱高下もおカネとしての利用を妨げている。1日で10%値上がりしたり、20%も値下がりしたりするようなものは、交換手段には適さない。
 決済手段として使うためには、「価格が安定していること」が大前提となる。ビットコインは、「ボラティリティ」(価格変動制)が大きすぎるため、買い手にとっても売り手にとってもリスクが大きすぎて、支払手段として使えない状態になっている。
 ③ビットコイン取引量の限界
 ビットコインの取引量に制約がある点も、交換手段としての利用に限界をもたらす。ビットコインには、「ブロックチェーン」という、10分ごとに「ブロック」(一種の帳簿)を作成することで安全性を確保する技術が使われている。
 そのブロックの大きさは、最大「1メガバイト」に定められている。10分間の取引をこの1メガバイトの容量に収めるために、ビットコインの取引は、実は世界で「1秒間にわずか7件」が限界となっている。
 このようにビットコインのネットワークは、実際には、けっこう非力なシステムなのである。米国のスターバックスでは、ビットコインでの支払いが可能となっているが、皆がコーヒー代の支払いなどに使い始めると、すぐにパンクしてしまうことになる。このような限定的な取引能力によって、全世界のモノやサービスの取引をまかなうこと到底無理なのではないかとみられる。
 ちなみに、クレジットカード「VISA」のネットワークである「VisaNet」では1秒間に世界で5万件以上の取引の処理が可能。1秒間に7件というビットコインの処理能力をこれと比べると、おもちゃのようなシステムであるように思える。
 サトシ・ナカモトが作ったのは、まだ実験段階のシステムであったのでないかとも推察される。これが果たして世界中で決済手段として使われ、「世界を変える通貨」になっていくのかについては、かなり疑問があるものと言えよう。
 





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