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2018年8月10日 (金)

Report 2018 高齢者と牛乳 ②

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 また、国立長寿医療研究センターが愛知県大府市と知多郡東浦町の住民から募った40代~70代の人を対象に、生活や病歴、体力、食事、認知機能などを1997年から継続的に調査している「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究」では、総計3983人(第1次~第7次調査)の調査データのうち、60代、70代の人について認知機能の低下リスクを解析した。
 結果、特に女性では乳製品の摂取量に応じて認知機能リスクに有意な差があり、乳製品の摂取量が128g/日増えるごとにオッズ比は0.08、すなわち認知機能の低下リスクは2割減るという結果になった。
 また、脂肪酸に着目した解析では、牛乳に含まれる短鎖脂肪酸の1つである酪酸の摂取が180.5mg/日増えると認知機能低下リスクが約15%下がることが分かった。酪酸180.5mgは普通牛乳150gに含まれる量に相当する。
 牛乳・乳製品は、口腔についても、歯周組織の強化や歯質の再石灰化作用、むし歯になりにくくする効果があるとされる。
 脱落歯は歯の保存液が無い場合には応急的に牛乳に浸漬しておくと再植の予後が良いことも知られている。
 さらに、新潟大学のグループが70歳以上の高齢者600人の口腔内および全身状態と栄養摂取状況について6年間追跡した研究では、牛乳・乳製品の摂取量は根面う蝕発症歯数と統計学的に有意な関連があることが報告されている。
 もちろん牛乳を飲むだけで認知機能の低下を予防し、フレイルや寝たきりにつながる栄養状態低下を妨げたりするとは限らないが、これらの研究結果は、牛乳・乳製品を摂取しない食生活が高齢者の健康のリスク要因になる可能性があることを示している。
 牛乳は動物性たんぱく質や脂質、カルシウム、ビタミンA、B群などを含む栄養学的にきわめてバランスの良い食品であり、しかも調理しなくても手軽に摂取できることから、高齢者には特に飲用が推奨されている。
 しかし、前に述べた国立長寿医療研究センターの調査では高齢者の3割は、牛乳・乳製品をほとんど摂取していないという実態も明らかになっている。





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