« Clinical 病因論・時間軸~→歯周治療 ③ | トップページ | Clinical 病因論・時間軸~→歯周治療 ⑤ »

2018年9月10日 (月)

Clinical 病因論・時間軸~→歯周治療 ④

続き:
4. 歯周基本治療
 喫煙指導や糖尿病管理で、宿主の抵抗力を上げること以外は宿主防御を大きく変えることはできない。とすると私たちが行いうるのは、局所の感染源をできるだけ軽減除去することに尽きる。
 そのためプラークコントロール、スケーリング・ルートプレーニング(SRP) といった歯周基本治療がきわめて重要になる。
 患者指導では病因論の変遷を理解した上で、歯周治療は患者と術者の両方の努力が必要なこと、治療が終了してもその結果を維持するにはメインテナンスが欠かせないことを最初に説明する。 SRP は非常に繊細な技術を要する処置で、歯科衛生士が中心に行うが、3~5年程度のトレーニングが必要である。
 器具機材としては超音波スケーラーとハンドキュレットを用いる。超音波スケーラーの進歩は著しく、適切なチップを選択しパワーをコントロールすることにより、ハンドのみに比べて術者の疲労を防ぎ時間短縮できる。仕上げはハンドキュレットで行う。
 当院では歯周外科治療を大きく減少してきている。
 ここで問題なのが、適切な SRP によって歯周組織が改善していくのを体験する機会が歯科医師や歯科衛生士の教育の中で十分ではないことである。そのためそれぞれの歯科医院・クリニックの中でこつこつと SRP のテクニックを高めていく必要がある。
 かっては初期治療、確定的外科治療という区分けがあったが、SRP を中心とした歯周基本治療こそ重要と考えられる。
 歯周基本治療を行うのは、再生療法を行う場合、歯肉縁下にアクセスしにくい場合、補綴前処置などに限定されてきているのではないだろうか。
5. 発症と地域の歯科医院・クリニックの果たす役割
 当院では2002年~2012年に来院した18歳以上35歳以下の828名の初診患者の歯周病進行度のデータでは、2%ほどが歯周炎である。慢性歯周炎と違い、プラークや歯石は少ないが急速な破壊を起こすようなタイプ―→ 侵襲性歯周炎と分類される。
 慢性歯周炎は、歯石やプラークが経年的に蓄積したことにより発症したものといえる。こうした状況が続く、年齢が高くなると修復補綴等も増え、生活習慣など様々な要因が絡み合ってくる。それに対して侵襲性歯周炎は若い年齢で発症するため、喫煙がなければ、不摂生の蓄積、多数の修復補綴、糖尿病などの疾患、服薬などが少ない。
 歯肉縁下の感染を軽減除去できれば、どのように歯周炎が変化改善していくかを見ることができる。侵襲性歯周炎という怖い名前がついているが、重度・末期でない限り経過は良好であることを筆者(岡)は多数経験している。また歯周炎の発症を臨床で体幹するためにも非常に重要だ。
 侵襲性歯周炎を適切に治療できるという経験により、慢性歯周炎の臨床判断が向上してくる。地域の歯科医院・クリニックでは、歯周炎の発症を見逃すことなく適切に対応し、重症化を防ぐことが求められる。
 侵襲性歯周炎には家族内集積があるといわれ、患者の子どもの発症に注意を払い予防することも必要になる。





« Clinical 病因論・時間軸~→歯周治療 ③ | トップページ | Clinical 病因論・時間軸~→歯周治療 ⑤ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/413185/74185517

この記事へのトラックバック一覧です: Clinical 病因論・時間軸~→歯周治療 ④:

« Clinical 病因論・時間軸~→歯周治療 ③ | トップページ | Clinical 病因論・時間軸~→歯周治療 ⑤ »