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2018年9月21日 (金)

最後の保護主義モンスター? ②

続き:
■保護主義の蔓延はトランプのせい?
 まず、現在の「貿易戦争」は過去二十年余の WTO体制(自由貿易推進体制)の延長線上の起こっていることを確認しよう。広い意味でのグローバル化の結果と言っていい。つまり単なる「トランプ劇場」ではない、ということだ。
 多くのメディアや識者が憂慮する「保護主義の台頭」は、トランプ大統領の出現によって生じたことではない。世界の財(モノ)の貿易(輸出額ベース)は、2008年のリーマン・ショック直後の2009年に一気に落ち込み、2010年~2012年以降は五年連続で減少し続けている。
 いわゆる「スロー・トレード」だ。2017年には五年ぶりの上昇となったが、2000年代前半のような急速な拡大は今後も展望できない。つまりモノの貿易はすでに停滞 or 縮小している。
 その背景にはいくつかの要因がある。まずリーマン・ショック後の景気減速によって各国の消費や設備投資が抑制されたことにともない、輸出入の伸びが鈍化したことだ。
 二つ目は貿易の構造的な変化が大きい。例えば、従来は先進国の企業は国内で製品を生産し新興国に輸出していたが、グローバル化の中で新興国での現地生産に切り替える動きが広がってきた。その結果、新興国では国内で生産から販売までが完結するため、その分の貿易は減る。
 グローバル企業が積極的に途上国・新興国でサプライ・チェーンを形成してきたことの結果だ。また世界の投資も2008年以降は停滞・縮小傾向にある。
 1990年代以降に削減・撤廃されてきた世界の関税率も、リーマン・ショック以降には微増傾向にあり、非関税障壁も各国で増加してきた。つまり2008年頃から「保護主義」の傾向は生じており、その結果として登場したのがトランプ大統領というべきところだろう。
 自由貿易の停滞は、先進国政府やグローバル企業の経営陣にとって頭の痛い現象であり、何としてでも打開すべき課題であり続けてきた。
 その時の「希望の道」が、TPP をはじめとするメガ自由貿易協定だ。2010年以降、もちろん米国自身がどの国よりも率先して推進してきた。しかしメガ自由貿易協定は広範囲で各国の利害も対立することから、容易に締結できていない。
 そもそもWTOは、2001年のドーハラウンドで先進国と途上国・新興国の対立が鮮明となり立ち行かなくなった。そこで米国をはじめとする先進国はWTOを半ば見限り、二国間FTAやメガFTAを推進するようになる。
 今回の「貿易戦争」に際して、日本やEUなど先進国政府は盛んに「WTOの多角的交渉に戻れ」と主張してきたのは途上国の側だった。
 WTOの非民主制や交渉の問題点はここでは触れないが、途上国からすれば今の「貿易戦争」をめぐる米国そして他の先進国の態度は、
 ―――→ ずいぶんと身勝手に見えるのでは?




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