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2018年9月22日 (土)

最後の保護主義モンスター? ③

続き:
■グローバル化を拒否し始めた人々
 自由貿易の停滞傾向は、多くの人々の生活実感からも確認できるだろう。自由貿易を含め広い意味でのグローバル化の恩恵を受けてこなかった多数の人々が、「もうたくさんだ」と言い始めている。
 過去三十年間で、先進国の製造業の生産拠点は途上国へとシフトし、地域経済の空洞化が生じた。先進国に残るのは、一部の知的労働と低賃金のサービス労働だ。そこから取り残され、排除されてきた人々の存在は米国大統領選挙で可視化された。
 脱工業化の進む先進国での自由貿易への明確な拒否がトランプを大統領に押し上げた。
 一方、自由貿易推進者や各国政府は、こうした動きが連鎖的に世界に広がることを阻止するため、「賃金の停滞や格差拡大は自由貿易のせいではなく、技術革新や、教育や雇用政策など国内の調整の失敗だ」と、自由貿易を擁護する。
 勿論、貿易が格差や低賃金の唯一の要因ではないことは数々の実証的研究が明らかにしているところである。だが、WTO、IMF、世銀も「貿易によって負の影響を受ける地域社会・労働者は存在する」と認めざるを得ず、その因果関係を否定することはできない。
 それでは、所得格差や地域経済の疲弊を引き起こした数ある要因の中でも、なぜ人々は自由貿易協定に対して強くノーと言うのか。
 それは、貿易協定が労働者や農民、市民の意志・利害を反映せず、秘密交渉の中で先進国政府と大企業によってつくられるルールだからではないだろうか。
 ひとたび協定が発効してしまえば離脱も破棄も難しく、ただ目の前のルールに従うしかない。国内施策と比べれば、貿易協定は極端に非民主的であり、各国の政策余地をも制限する。人々がコントロールすることは到底不可能なのだ。




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