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2018年9月24日 (月)

最後の保護主義モンスター? ④―②

続き:
 そんな米国にとって厄介な存在が中国である。2015年5月、中国政府は今後10年間の製造業発展のロードマップとして「中国製造2025」を発表した。
 製造業のイノベーション能力の向上や科学技術・イノベーションの強化などが主要な柱である。事実、中国に於ける IT 分野や特許などの分野の発展は目覚ましく、2017年の特許の国際出願件数では、中国が日本を抜き二位となり、トップの米国を抜くのも時間の問題とされている。
 これらハイテク・デジタル、知財覇権を中国に奪われまいと必死になる米国は、2018年3月に中国による知財侵害への対米投資を厳しく審査する新法「外国投資リスク審査近代化法」に署名した。
 これは対米外国投資委員会 (CFIUS) による企業審査を厳格化する法律で、外資の対米投資に安全保障上のリスクがあると判断されれば、投資の中止を強制できる内容だ。
 勿論、ターゲットは中国企業と投資家がハイテク分野へ進出して、技術を獲得することを厳しく制限するためである。特にトランプ政権の「中国にハイテク覇権を奪われる」という恐怖は強く、経済合理性だけでは説明できない憎悪心が含まれているように見えるのだ。
 いずれにせよ、現在の「貿易戦争」の複雑さは米国のこの二面性にある。
 つまり、貿易赤字分野あるいは今後覇権を奪われかねない分野では保護主義的な措置を、貿易黒字を生み出す「強い産業」ではグローバル企業に有利なルールを強いる、いわば「保護主義」と「グローバル化」が混在しているような状態だ。
 これらが部分的に伝えられるため、世界の貿易の質がどのように変化し、誰がどのようなルールを作ろうとしているのかを正確に見極めることが困難なのである。
■どのようなルールが必要なのか?
 トランプ大統領の出現以来、国際 NGO や労働組合、農民団体などは、新たな課題に直面することになった。自由貿易に批判的であることと、トランプの「保護主義」を指示することは異なるということを、説得力を持って示さなければならないのだ。
 それは従来のグロバリゼーション批判だけでは足りず、また単に「保護主義」に回帰すればよいという話でもない。
 「自由貿易 vs 保護主義」という二項対立の罠に陥らない新たな政策論が必要なのである。



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