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2018年9月23日 (日)

最後の保護主義モンスター? ④―①

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経済的な影響に加え、民主主義や主権という側面からの人々のこうした自由貿易批判は必然でもあり、イギリスのEU離脱、イタリアの選挙、そしてトランプの勝利の根底に勝実に存在する。
 マレーシアでのマハティール首相の当選や、メキシコでアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏が史上初の左派大統領として誕生したことも無関係では無いだろう。
 これらは単なるポピュリズムや「保護主義」と括ってしまえるほど単純ではない。
 グローバル化や自由貿易の影響は国や地域で様々な様相を呈している。それへの反応や抵抗は、左派的なムーブメントだけでなく排外主義やナショナリズムも含め多様な形で重層的に、今後も拡大していくであろう。
 たとえ米中貿易戦争が終わっても、そして仮に、トランプ大統領が「保護主義」政策を止めたとしても、である。
■デジタル覇権をめぐる米中の争い
 もう一つ、現在の「貿易戦争」を読み解く上で重要な点を挙げたい。今起こっている関税(=モノの貿易)を巡る応酬の背後には、世界の IT・デジタル貿易・知財の覇権を巡る争いがある。
 世界はモノの貿易からサービス貿易・デジタル貿易へとその重点をシフトさせており、貿易全体に占めるサービス貿易のシェアは2017年で23.1%に到達。
 サービス貿易とは、輸送、旅行、建設、保険、金融、医薬品特許や著作権等の知的財産権、通信などの広い分野を含む。
 デジタル貿易とは、 IT による電子商取引やクラウド・コンピュータ、 IoT 、人工知能( AI ) などの先端技術などを含む。
 モノの貿易が停滞傾向にある中、米国や中国、EU などの先進国はサービス・デジタル覇権をめぐり熾烈な駆け引きを行っている。すでに通商摩擦をモノの貿易収支だけで議論のは不十分であり、各貿易協定の中でも個別の章や規定についての複雑な交渉が重ねられているのだが、
 日本ではほとんどそのような実状は伝達無し。―→ 日本国民は何にも知らない。
 この分野で競争優位に立つアメリカは、TPP等の貿易交渉で常にアマゾンやグーグル、フェイスブック、ウーバー等、自国のIT関連企業や製薬企業、金融・保険会社などのグローバル企業と一体化し、他国の市場アクセス改善(規制緩和)や新ルール導入による自由化を推し進めてきた。
 その結果、TPPには米国が望んだ強い自由化ルール(個人情報を含む情報の国境を越えた自由な移転や、ソース・コード開示要求の禁止等)が規定されたのである。
 TPP 離脱後も、米国は当然この路線を変えていない。つまりこの分野ではトランプ政権は決して保護主義に方向転換しておらず、むしろ今まで以上にグローバル企業に有利なルールづくりに邁進しているのだ。




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