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2018年10月24日 (水)

Clinical 院内感染対策 ⑥

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 ※ 消毒薬の適応対象(参考文献2より引用)
    消毒の対象(器材・器具、生体、環境)と薬剤、そして消毒薬の分類を示す。
    a 対象、 b 薬剤、 c 分類
   a 器械・器具のみに使用
   b グルタラール(ステリハイド)、フタラール(ディスオーバ)、過酢酸(アセサイド6
     %溶液、アセサイドMA6%消毒液)
   c 高水準
   a 生体のみに使用
   b ポピドンヨード(イソジン等)
   c 中水準
   a 生体・環境に使用
   b 次亜塩素酸ナトリウム(手指:0.01~0.05%、環境:0,1%)
   c 中水準
   a 主に生体に使用
   b クロルヘキシジン(ヒビテン等)、ベンザルニコウム塩化物(オスバン、ジアミ
     トール等)
   c 低水準
   a 主に器械・器具に使用
   b ベンゼトニウム塩化物(ハイアミン等)、アセキルジアミノエチルグリシン
     (テゴー51等)
   c 低水準
          ―以上。
4. オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器について
 オートクレーブには、ヨーロッパ小型高圧蒸気滅菌器の分類 (EN13060)によるクラス B (プレポストバキューム方式、反復プレバキューム法)、クラスN(重力置換法)、クラスS(プレポストバキューム方式・シングルプレバキューム法)がある。
 一般の歯科診療所においてはクラスNが最も多く使用されており、クラスBの普及率は低い。クラスBのプレポストバキューム方式とは、真空状態と高圧蒸気の注入を交互に繰り返して、チューブ状の内部や多孔体の内部の残留空気を抜き、滅菌対象物の細部まで高圧蒸気を送る方法である。
◆EN13060基準による滅菌機クラス別被滅菌物の例
<クラスB (Big)>固形、多孔体、中空、非包装、包装(一重、多重):ハンドピース、バキュームチップ、布製品、その他クラスS、Nで滅菌できるもの(あらゆる被滅菌物を滅菌可能)
<クラスS (Specific)>メーカー特定の製品で非包装の中空物、包装された固形物:ミラー、ピンセット等の一般的な歯科用器具(包装)、非包装のハンドピース
<クラスN (Naked)>非包装の固形物のみ:ミラー、ピンセット等の一般的な歯科用器具(非包装)
1)オートクレーブ使用に於ける適応の知識
 チューブ内面、サクションtップ内面、布製品、多孔性器材、歯科用ハンドピース中空内面などはクラスNでは滅菌できない。これは内面に残留した空気を脱気する工程がないので、空気が残留して飽和蒸気が接触できないためである。
 オートクレーブ使用時の滅菌温度と保持時間については、121℃・15分、126℃・10分、134℃・3分の報告がある。なお、この保持時間は滅菌物自体が目的の滅菌温度に達してからの実質経過時間であり、使用する滅菌器で設定する滅菌時間(運転時間)とは異なる。
 また実際の滅菌時においては、製造・販売元の説明書を参考に適切な使用が大切である。
 具体的には、134℃の設定であったとしても、非包装のみ、一重包装では運転時間を異にしなくてはいけない。また各社、各滅菌器により運転時間の設定は異なるため、使用する機器の使用法については必ず確認が必要となる。
2) ハンドピースの管理
 ハンドピースには器材の耐熱温度が表示されている。従ってメーカー推奨の耐熱温度を確認、厳守して正しい取り扱いが大切であり、それにより故障の原因の回避、安全の確保につながる。
 最近では前述した器材を洗浄~高水準消毒の工程で自動で行うウォッシャーディスインフェクター(WD)に対応するエアタービンも市販されている。対応の製品にはこれらが確認できるよう「滅菌マーク : 135℃」、「WD 対応マーク」が印字されている。
 エアタービンは高速・安定した性能を発揮するために数多くの精密な部品、メカニズムにより構成されている為→確実な知識の下に、適切なメインテナンスが必要。
 また、これらの高価な器材を適切・安全に使用していくことは臨床上、経営上からみても重要なポイントとなり、メーカーが定める手順(洗浄、消毒、注油、滅菌、保管等)に従って日常的に対応することが大切である。
 多くの器具・器材を必要とする歯科診療に於いて、院内感染対策に対する作業と経済的な負担は重要な要素である。個々の歯科医療技術に対する診療報酬での院内感染対策にかかる内容は、これまで評価されることは無かった。今後も、より長い診療環境整備を考えるにあたり、感染予防対策としての医学的最適性と経済的最適性の確保には、臨学産官による協力、支援が重要であると考える。
 現場を観察する機会が得られそれぞれ工夫をもって院内感染対策に取り組んでいるところを見ることができた。治療する側、治療を受ける側、誰もが良い環境を望む。今後、院内感染対策を提言する側も現場で診療に当たる側も、正しい知識と知恵が必要となる。
 院内感染対策、それは患者を守ること、スタッフを守ること、自分を守ること。



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