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2018年10月11日 (木)

小児の「口腔機能発達不全症」について ①

 

「内の目外の目」第190回 木本茂也 (神奈川歯科大学大学院小児歯科学教授)さんの論文を掲載:コピー・ペー 。
 我が国における疾病構造の変化により、小児歯科医療の役割は大きく変化している。小児のう蝕は有病者率、1人平均う歯数ともに減少し、2017年の12歳児1人平均う歯数はおよそ0.8歯となっている。
 かっての「う歯の洪水」時代はすでに終わりを告げ、現在は乳歯列からの健全な歯列・咬合の育成と口腔機能の管理という小児歯科本来の役割が重要視されるに至っている。
 また、厚労省と日本歯科医師会の活動により、高齢者の残存歯は増加し、口腔機能の改善に効果を上げている。
 その一方で、いわゆる健常児とされる子どもの摂食機能に関する問題が顕在化してきている。
 ここでは、超高齢化社会を迎えた我が国の老年期のオーラルフレイルを防止するためのスタート地点となる小児期における「口腔機能管理」を提案するに至った経緯にに就いて紹介する。
 2013年に日本歯科医学会重点研究委員会は、歯科医師の意見を反映させた子どもの食の問題へのアプローチの立案、さらに保護者の要望を踏まえて歯科医師が行うべき事を提示することを目的として、小児の食の問題についてアンケート調査を実施した。
 この調査は小児歯科を標榜する歯科医療機関のデンティストと未就学児の保護者を対象として、質問紙への回答ににより行われた。
 2015年1月に「子どもの食の問題に関する調査」報告書が発行され、日本歯科医学会のホームページ上に公開された。
 その結果、全体の約6割のデンティストが子どもの食に関する問題について相談を受けており、全体の8割以上が子どもの食の問題にデンティストとして改善に向けた取り組みを行うべきであると考えていた。
 一方、実際に子どもの食の問題に何らかの対応を取っているデンティストは全体の45%にとどまり、デンティストとして対応し切れていない現状が明らかになった。
 なお、子どもの保護者からの回答によれば、全体の54%が子どもの食事について心配事があるものの、実際に専門家の指導やアドバイスを受けている保護者は全体の8%にとどまっていた。
 また、歯科医院における保護者の相談内容は、デンティストが受けていると回答した相談内容と異なり、咀嚼機能よりむしろ食行動に関する問題の割合が高いことが判明した。
 このような調査結果を踏まえ、デンティストが子どもの食の問題の改善に向けた具体的指導や管理を実施するために、成長期における口腔機能の発達を評価するための指標作りと歯科医療関係者を対象とした研修の必要性が浮き彫りとなった。





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