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2018年10月 2日 (火)

Science ~漢方薬の EBM の表と裏~ ②

続き:
● 日本漢方である方証相対の考え方
 すべての漢方薬は証によって14に分類されている。この考え方が日本漢方の方証相対であり、証と適用処方が即応している。
① 解表剤:発汗(麻黄剤)、解肌(桂枝湯)により、表証を解除
② 和解剤:病邪を中和する方剤→柴胡剤
③ 表裏双解剤:表裏を同時に治療する方剤
④ 瀉下剤:下剤、便秘薬→(1)峻下剤、(2)緩下剤
⑤ 清熱剤:熱証治療:(1) 実熱 (発汗)
               (2)虚熱 (熱による栄養不足と脱水)
⑥ 温裏補陽剤:(1) 温裏剤:温熱性の薬物を用いて裏寒の改善
           (2) 回陽剤:経脈を温め陽気の回復
⑦ 補気剤:気虚を治療
⑧ 補血剤:血虚(血の栄養不足)
⑨ 気血双補剤:気虚と血虚の両方を治療
⑩ 滋陰剤:陰虚を治療、陰液不足(血・栄養不足と津液・脱水)
⑪ 理気剤:気滞(気の巡りを改善)
⑫ 安定剤:精神安定、鎮静(不眠、多夢、動悸、不安、イライラ)
⑬  利水剤:水毒(痰飲や水腫)
⑭ 駆瘀血剤:瘀血治療剤(微小循環障害)
2. 口腔症状からみた漢方薬選択の実例
 「仕事の関係で疲れがたまり、緊張が続き、胃が重くなり、口臭が強くなる気がする。口内炎もでき、唾液が少なく口が渇く、口の中がねばねばする。舌は深紅色をしており、舌苔はない」という症例の場合、①弁証論治、②方証相対、③病名(症例)漢方療法は筆者(王)らの経験の知見から次の様に考える。
 
 ①では、これらの情報から、弁証の一つとしての臓腑弁証で対応した場合には、この患者の証は「胃陰虚」である。五臓六腑の胃(解剖学的な胃ではなく、口腔内を含め広く消化器官を指す)の陰液(唾液、組織液、胃液、分泌液、粘液など、体内の水分のこと)が不足している体質で、疲労、緊張、ストレス、暴飲暴食などによる胃への負担などが長引くと、次第に体液などの陰液が消耗し、この証になる。
 陰液が少ないので熱を冷ます機能が弱く、結果として相対的に熱が余ることになり、それが熱邪となって口臭を引き起こすと考える。この体質の場合は、胃の陰液を補う漢方薬で口臭体質を改善する。代表的な処方は麦門冬湯と考える。
 ②では、上記の症状から、清熱剤か滋陰剤からの選択になる。この場合には滋陰剤の一つである麦門冬湯が候補としてあがるが清熱剤も候補となる。
 ③では、医療用漢方製剤の「効能又は効果」から、口内炎、口渇、神経症の適応症にあたるものを選択していくことになる。この場合には麦門冬湯は候補にあがらない。





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