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2018年11月 1日 (木)

Clinical 口腔診療に重要な関連知識 ②

続き:

2. 上顎洞

 上顎洞は、前後的には上顎4番~上顎結節まで存在し、その幅はほとんど歯槽基部と一致する。上顎の臼歯の根尖は上顎洞に突出して上顎洞底粘膜から血流を得ている場合が多い。上顎洞底と上顎臼歯根尖の関係では、明らかに根尖が上顎洞底よりも洞内に突出しているものを除いて、立体的な構造はデンタルX線写真一枚では判定が困難である。

 根管治療に際して使用する薬剤、充填材、セメントなどが上顎洞粘膜下に漏出することがある。糊剤は吸収される場合が多く、即座に観血的処置を行わず、経過を見てから必要であれば処置を行う。なお、口腔上顎洞瘻が抜歯などの処置により形成された場合、上顎洞の閉鎖条件を満たすことを確認しなければならない。

 条件を満たす場合は、口腔上顎洞瘻を閉鎖することができる。瘻孔形成時であれば、周囲歯肉骨膜弁を用いて閉鎖することができるが、張力がかかっていると思うほどうまくはいかず、瘻孔が残ることとなる。

 従って頬側歯肉骨膜弁に余裕を持たせて抜歯窩を閉鎖うる必要がある。又、頬脂肪体を用いて閉鎖上に、歯肉骨膜弁で閉鎖する方法もよく用いられる。さらに、口蓋弁を用いた閉鎖を行うこともある。

 なお、瘻孔の自然閉鎖を期待して一時的に閉鎖しない場合には、上顎洞が口腔側から汚染されることを考えて、洗浄や抗生剤の投与を行うこととなる。

 上顎洞閉鎖条件のためには何と言っても、自然孔であろうと対孔であろうと、鼻腔と上顎洞の交通路が開いていることが大条件である。その理由は、上顎洞の分泌物や汚れは鼻腔に捨てられなければならないから。

 自然孔の位置は明確に CT 等で描出される場合もあるが、鼻粘膜膜用部に点々と小孔散在している場合もあり、必ずしも画像で明示出来るとは限らない。

 瘻孔形成前に撮影した CT や MRI 画像で上顎洞の含気が良好で浸出液がなく、上顎洞粘膜の肥厚も認められない場合は自然孔が開存していると間接的に考えられるが、一般的には通気法か通水法で自然孔の開存を確認する。

 特に、意識がある場合には、鼻を摘まみ、鼻からだけ息を吐き出させて、瘻孔から口腔への空気の流出を確認するのが一般的である。ただし、瘻孔形成による刺激で炎症が惹起されて自然孔が閉鎖される場合も可能性としてありうるので、注意が必要である。

 異物や歯の上顎洞迷入時には、画像診断により異物が粘膜下や粘膜内に存在するのか、あるいは上顎洞の内腔にフリーで存在するのかの判断をしなければならない。その場合の注意点としては、撮影時の体位(頭位)に対する考慮が挙げられる。

 異物や歯が上顎洞内に完全に迷入して可動状態であると、撮影時に上顎洞の最も低い部位に異物や歯が移動して映る。洞内を重力に従って動くのである。これに対して、粘膜下や粘膜内に存在すると、撮影時の頭位に関係なく同じ部位に異物や歯が映る。

 歯根の迷入の例では、上顎洞粘膜下・粘膜内に歯根が存在。またさらに複雑な症例も出てくることがある。上顎洞内にインプラントを落とした例であるが、インプラント体は上顎洞天蓋粘膜に付着して、カバースクリューが篩骨洞入口に付着していた。おそらく、洞粘膜の繊毛運動や分泌液・浸出液の流れの影響もあったものと推測されるが、詳細は不明である。

 多くの場合、犬歯窩を開けて患者を仰臥位に寝かせ、頚部を後屈・伸展させて摘出術を行う。このため、迷入した異物が可動性であるかどうか、どの部位を狙って異物の捜索を行うのかを予め X線写真を見比べて診断しておく必要がある。

 なお、洞内への光源の確保が難しい場合、内視鏡などを併用すると比較的容易に摘出が可能である。



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