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2018年11月 5日 (月)

Clinical 口腔診療に重要な関連知識 ⑤

続き:

5. 嚥下障害

 嚥下のパターン形成機構は下位脳幹、脊髄に存在すると考えられている。その制御は咽頭や喉頭の知覚の脳幹への入力により行われ、皮質延髄路や大脳基底膜の関与が考えられている。

 嚥下障害を引き起こす神経麻痺は球麻痺と偽性球麻痺に分類、同じ嚥下障害であっても症状・障害が異なる。このため、嚥下指導を行う際に、この両者を区別して、症例に応じた目標の立て方と指導法を選ばないと、患者にとってリハビリが単なる苦痛になってしまう可能性がある。この点は特に注意する必要がある。

 球麻痺とは延髄の諸脳神経(舌咽神経、迷走神経、舌下神経)の運動神経核の障害により、発語、発声、嚥下、呼吸、循環などの障害をきたして生じる症状のこと。

 一方、偽性球麻痺とは延髄神経核の上位ニューロンである皮膚延髄路の障害によって生じる症状である。繰り返すが、嚥下障害において両者の障害は異なる。このため、診断だけでなく、リハビリを行う場合でもこの両者の区別が必要がある。

 球麻痺の嚥下障害は球麻痺では延髄にある疑核、孤束核、網様体および嚥下関連ニューロン障害により起こり、典型例は脳血管障害ではワレンベルグシンドローム、変性疾患では筋萎縮性側索硬化症などになる。

 嚥下動態では口腔相障害は軽度であり、咽頭相である嚥下反射障害が主体になる。嚥下反射が起こりにくく、起こっても不十分になる。嚥下筋群の活動様式のプログラム異常と考えられる。軟口蓋、咽頭挙上、咽頭収縮、食道入口部開大などの運動障害が認められ、停滞型の嚥下障害。

 偽性球麻痺の嚥下障害は皮質延髄路障害であり、反射は起こりにくいが、嚥下中枢自体は障害されていないため、嚥下反射が起こればそのパターンは保たれている。嚥下動態は口腔相の障害(食塊形成不良)、咽頭期への移送の障害、嚥下障害の惹起不良が主体であり、嚥下反射は保たれるが、食塊形成しにくく、水分は特に誤嚥しやすいという特徴がある。

 なお、反射の判定には、口蓋反射(左右の前口蓋弓を軽くこすると軟口蓋が挙上する反射)、咽頭反射(咽頭後壁を擦過した際に軟口蓋が挙上する反射)が簡便である。

 嚥下機能の判定は、改定水分嚥下試験 (MWST : Modified water swallowing test) ( 3ml の水を注射器で被験者の口腔内に入れて嚥下してもらう。注入後5秒以内にむせ込みもなく飲めれば正常である)、

 反復唾液嚥下テスト(RSST  : Repetitive saliva swallowing test) (甲状軟骨を触知した状態で30秒間に何回空嚥下ができるかを測定し、3回未満を陽性と判断する)などがある。

 また、嚥下造影法 (VF : Vide-ofluorography) による機能評価が詳細に行え、非常に有用である。

 嚥下内視鏡 (VE : Videoendoscopic evaluation of swallowing) による機能評価では、主に嚥下効率を調べることができる。同検査では、嚥下時に画像が途切れること、食物が消えた先が食道であるのか気道であるのかが分からないことなどに欠点・限界があることを理解して、安全に実施する必要があることを注意しなければならない。

 

 



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