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2018年11月18日 (日)

Clinical ~局所麻酔のコツとポイント~ ④

続き:
7) 確実な下顎孔伝達麻酔のためのポイント
 下顎孔伝達麻酔は下顎臼歯部の抜髄や抜歯は勿論、術野に炎症がある場合や術野が広範囲に及ぶ場合などに極めて有効な手術法であるが、深部組織に盲目的に注射針を刺入するため、血管や神経の損傷、麻酔薬の血管内誤注による局所麻酔薬中毒などの危険性があることから敬遠されがちな麻酔法でもある。
 しかし、下顎孔伝達麻酔の修得は治療の幅を広げ、治療時間の短縮と治療の質を向上させる。また、痛みによる患者の負担を軽減させることが出来るため、是非、修得したい手技だ。
 安全で確実な下顎孔伝達麻酔を成功させるためには下顎孔付近の解剖学的な形態を熟知しておくことが必要である。
 ―→下顎孔は下顎枝の前後上下ほぼ中央に位置しており、下顎枝と内側翼突筋の間には蝶下顎靭帯が存在し、蝶下顎靭帯下端は下顎小舌に付着し下顎孔を覆っている。そのため針先は下顎小舌よりも上方に到達させる必要があり、これよりも下方では麻酔薬が十分に届かず、舌神経のみが麻酔され下歯槽神経は麻酔されない可能性がある。
 下顎孔を開孔している翼突下顎隙の容積は閉口時で約1.25mL、開口時で約2mLであり、通常、歯科用局所麻酔カートリッジを1本分使用すれば麻酔効果が得られるといわれてきた。いかし、最近の研究で下顎小舌部での蝶下顎靭帯の付着様式は、下顎小舌に限局しているもの(Ⅰ型)、下顎小舌~顎舌骨筋神経溝を覆い下顎枝内面後方にかけて付着しているもの(Ⅱ型)、下顎小舌~下顎枝後縁にまで広範囲に付着しtりるもの(Ⅲ型)の3タイプが確認されており、そのうちⅢ型が約60%と最も多い。
 Ⅲ型では、針先が蝶下顎靭帯より内側(内側翼突筋側)に位置した場合、靭帯によって麻酔薬の奏功が阻害される可能性が示唆されている。
 従って、注射針の刺入は咬合平面より10mm上方で、深さは15~20mm程度とし、先端は下顎枝内側骨面に近接していることを確認して十分量(カートリッジ1本)の麻酔薬を注入する必要がある。
 偶発症を怖れるが余り、針の刺入が低く浅すぎると十分な麻酔効果を得ることができない可能性が高い。
8) 歯科用電動注射器
 この注射器は、モーター駆動により一定の注入圧と速度で麻酔薬を注射することができる。細い注射針を使用した場合でも強圧で注射筒を押す必要がないため術者の負担が少なく、極めて緩徐に麻酔薬を注入することができ、注入時痛も少ないのが特徴である。
 表面麻酔により、注射針の刺入時痛さえコントロールできれば、患者が痛みを感じることはほとんどない。コンピューター制御により薬液の注入速度を自動調節ができるものや、吸引機能を備えるものもある。




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