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2018年11月 7日 (水)

Clinical 口腔診療に重要な関連知識 ⑦

続き:

7. 甲状腺

 歯科疾患を検索する目的で撮影したCT、MRI、PETなどの画像診断において、甲状腺の腫瘍や嚢胞は見落しとされがちである。甲状腺の良性腫瘍には、腺腫、嚢胞、腺腫様甲状腺腫の3種があり、甲状腺がんには、そのほとんどを占める乳頭がん、濾胞がんなど高分化型の比較的予後の良い腫瘍の他に、悪性度の高い髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫などがある。

 分化型の甲状腺がんでは、頚部の腫脹・結節以外、自覚症状が見られないことが多いが、嗄声や圧痛を訴えることもある。

 国立がん研究センターがん対策情報センターの2013年部位別がん罹患率によると、甲状腺がんは人口10万人あたり男性6.8人、女性17.4人であり、さほど罹患率は高くないように思われる。

 しかし、画像診断における甲状腺の結節性病変は、最近の検査機器の高性能化と相まって、比較的高頻度に発見され、十人~数十人に1人程度に結節性病変が認められる。小さな病変は自然消失してしまうこともあり、、また、亡くなるまで症状が出ないラテントがんと呼ばれる微小ながんもあることが分かってきた。

 甲状腺以外の疾患で亡くなった方の甲状腺を調べると、10~30%の方に甲状腺がんが見つかると言われている。このため、歯科疾患の診療の為に撮影した各種画像であるにもかかわらず、甲状腺の腫瘍、嚢胞、石灰化、左右不同等が映し出されている可能性は比較的高く、、見落としに注意しなければならない。

 日常診療で忘れがちであるが、重要と思われる、しかも歯科診療そのものというよりも、歯科関連診断領域にわたる注意点にフォーカスを当てて整理した。今後、高齢化と相まって、在宅診療など包括的医療・ケアの一環として歯科が発展していく際に、ささやかであるがお役に立てれば幸いである。



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