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2018年11月 3日 (土)

Clinical 口腔診療に重要な関連知識 ④

続き:

4. 下顎骨・智歯と舌神経の位置

 舌神経は三叉神経の一部である下顎神経の分岐である。即ち、下顎神経が下顎孔~下顎骨の中に入る前に、まず、頬の高さで頬神経を分岐し、下顎切痕のあたりで舌神経に分岐する。

 一般には、舌神経は口底部を走行していると考えられている。確かに口底部ではあるが、第三大臼歯よりも後方では、一般に考えられているよりも下顎骨に近接して走行している。

 実際、口底と下顎骨に挟まれて舌神経が走行しているような奇妙な感覚さえ筆者(丹沢)は持っている。特に、下顎第三大臼歯に近接して走行していること、時に、舌神経が歯槽頂に非常に近接することを忘れてはならない。

 下顎第三大臼歯の抜去術は口腔外科臨床において重要不可欠な外科処置であるが、抜去後に舌神経麻痺をきたす場合がまれに発生することがある。

 抜去術自体は局所麻酔下に行われるので、受傷した瞬間に患者が一過性の痛みを訴えることはあっても、術後に局所麻酔剤の効果が消失してから痛みを訴える場合が多いため、手術操作中に舌神経を損傷させたことに気付かない場合もある。

 臨床上、特にこの点に注意が必要である。

 舌神経麻痺が発症した場合、重篤な舌の知覚・味覚の麻痺を惹起する。通常、保存療法として ATP 製剤とメコバラミンなどの薬物療法や理学療法が行なわれ、時に、星状神経節ブロック療法なども施行される。

 なお、 ATP 製剤の使用は一般的ではあるがあまり効果は認められず、医療保険も適用外となっている。

 世界的には、重症例には外科的治療法として神経縫合術や自家神経移植術も推奨されているが、日本ではあまり行われていない。

 和歌山県立医科大学歯科口腔外科講座・藤田茂之教授では治療実績が多く、良好な成績を報告している。いずれにしても、智歯抜去の際の損傷を未然に防ぐために、注意が必要である。


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