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2018年11月 9日 (金)

海洋プラスチック汚染とは? ②

続き:
   <海洋プラスチック汚染とはどのような問題なのか>
海洋プラスチック汚染は、世界規模で起こっている環境問題であり、人間の体の健康や我々の産業・経済に関わる問題である。今日、世界全体の海洋ごみのうち、最大の割合を占めているのがプラスチックである。
 その正確な量はわからないものの、海域によっては、「外洋に蓄積しているごみのうち99.9%がプラスチックである」との報告もあるほどだ。合成物質であるプラスチックが海洋環境に蓄積し続けるにつれて、環境や社会、経済への有害な影響も増大しつつある。しかし、その影響の全体像は我々にはまだ分かっていない。
 海洋は、どの政府も管轄していない公海を有する「地球上で最大の共有財産」でもある。従って、海洋プラスチック汚染問題とは、国際政治の問題だ。
 1-1 プラスチックの由来
 世界で最初に合成ポリマーからプラスチックが創出されたのは1907年のこと。以降、プラスチックは我々の暮らしを大きく変えることになる。そもそも、プラスチックはなぜ創出されたのか?
 その歴史を振り返ったとき、「実は、環境保護のためだった」という側面もあることを知ると驚くかもしれない。この創出の理由は主として二つある。一つは、―野生動物の保護である。従来、象牙やウミガメの甲羅が装飾品などの材料として使われていたものをプラスチック材料で代用することで、ゾウやウミガメなどをできるだけ殺さずにすむ、というものだ。
 もう一つは、どのみち廃棄物になるしかなかった製油所からの副産物を取り出して、プラスチックペレットとして利用し、経済的な価値に転換するという、廃棄物の有効活用である。
 第二次世界大戦後、プラスチックは中産階級の台頭とともに「文化的な民主化」のシンボルとなった。1940~50年代にかけて急速に大量生産が進んだプラスチックは、社会の発展を支えてきたともいえる。
 その誕生からほんの数十年しか経っていないというのに、我々はごく日常的に「プラスチックを使って捨て」ている。プラスチック製品を製造するためのプラスチック製品の素材となるプラスチックペレットの生産量は、1950年には年に150万トンだったのが、現在では年に3億トンを越えており、年平均約4%増えてきた計算だ。この計算書には、繊維製品のための合成繊維(3720万トン)や自動車用タイヤ向けの合成ゴム(640万トン)は含まれていない。現在、プラスチックは世界の石油生産量の約4%を材料として毎年使っており、プラスチック製品のためのエネルギーとして別に世界の石油生産量の約4%程が使われているという。
 今日、プラスチックは、食べ物の生産や貯蔵、衣服、住居の断熱材・カーペットまで、我々が毎日接するほぼすべてのものに存在する。今や生活や環境中のどこにでも見られるものであるため、「人新世」(地質学的に新しい人類の時代に突入しているという考え方)のひとつのマーカーであると考える科学者もいるほどだ。
 もっとも、プラスチックの使用状況は地域によって異なる。たとえば、北米や西欧では、プラスチック製品の一人当たりの消費量は2005年に平均100kgだったのが、2015年には140kgに増えたと考えられている。日本を除くアジア諸国では、その数字はずっと低く、2005年には20kg、2015年36kgだ。アフリカではさらに低く、2015年の一人あたりの消費量は16kgだった。
 プラスチックが極めて有用で、革命的とさえいえる素材であることは否定できない。そして言うまでもないが、プラスチックは自然の中には存在しない。人間が創出したものである。
 プラスチックは軽量で耐久性があり、曲げたり打ち延ばしたりすることができ、安価に生産できる。そして、プラスチック添加剤を混ぜることで、プラスチックは我々の望む特定の特性を持つようになる(添加剤はプラスチック製品の全重量の半分に及ぶ場合もあるという)。添加剤のおかげで、プラスチックは驚くほど「何にでも使える」素材となっているのだ。たとえば、ビスフェノールA とフタル酸エステルを添加することで、「水に強く、燃えにくい」プラスチックができる。
 しかしながら、プラスチックをこれほどまでに特別で有用な素材にしているその特性のゆえに、プラスチックは自然に還ることができない。
 プラスチックごみの大きな問題の一つは、「完全に分解されることはない」というものだ。より細かく砕かれていっても、消えることはない。たとえ、肉眼で見えなくなったとしても、環境中に残り続けるのである。その結果、これまでに生産されたプラスチックのほぼすべてが――埋立場であれ、海の中であれ――現在でも存在し続けているのだ。
 もちろん、焼却すれば話は別だが、プラスチックの焼却は、適切な技術と条件が整っていなければ極めて危険!。廃棄物の焼却に関連した呼吸器疾患により毎年約27万人が死亡しているという報告もある。特に途上国では、廃棄物が増え続け、基準に満たない設備で焼却などの違法な廃棄物管理が拡がっていると強く懸念されている。
 「我々は今、プラスチックの不適切な管理による世界的な悲劇に直面している」と欧州委員会は述べている。見境なく過剰に生産・消費され、不十分な廃棄物管理によって捨てられているプラスチックは、21世紀の最悪の環境問題の一つである。
 プラスチックは、漁業や観光業、海運業といった業界だけでなく、生態系や人間の幸福にも悪影響を及ぼしていることがわかっている。





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