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2018年11月12日 (月)

海洋プラスチック汚染とは? ⑤

続き:
 1-4 マイクロプラスチック
 海洋に達したプラごみはその大きさによって、生態系や野生生物、人間の健康に与える影響が異なる。目に見える大きさのプラごみが注目を集めやすいが、「マイクロプラスチック」と呼ばれる5mm以下の極小プラスチックも海洋プラスチック汚染の大きな原因となっている。
 マイクロプラスチックには、元来5mm以下のプラスチックとして製造された「一次マイクロプラスチック」と、もともと5mm以上の大きさのプラスチックだったものが、破砕や劣化によって細かく砕けた結果、5mm以下になった「二次マイクロプラスチック」に分けることができる。いずれも海水より重いので、海底に蓄積すると考えられている。
 実は、私たちは毎日のように一次マイクロプラスチック入りの製品を使用している。たとえば、洗顔剤やボディソープなどでよくある「スクラブ」がそれだ。 1g あたり平均数千個のマイクロプラスチック(マイクロビーズとも呼ぶ)が入っているという。
 スクラブ洗顔剤で顔を洗う度に、多くのマイクロプラスチックが排水口へ流れ出しているのだ。そして、排水処理施設では完全に取り除くことはできず、現時点ではその大部分が海へ流れ込んでいると考えられている。
 また、大きなプラスチック製品が製造時や使用時にこすれてマイクロプラスチックが発生することもある。よくあるのは、走行中の自動車のタイヤの摩耗、そして洗濯時の合成繊維の剥がれ落ちだ。ポリエステル、ポリエチレン、アクリル、ェラスタンといった合成繊維は、世界の繊維消費量の60%以上を占めているという。
 そういった衣類を洗濯する度に、合成線維が剥がれ落ちて下水に入り、最終的に海に達していると考えられている。洗濯機でポリエステルのフリースを一枚洗うたびに、11万4000~228万3000本の線維が水路に直接放出されているという研究結果もある。私たちが日常使う洗濯機からもマイクロプラスチック汚染が生み出されているのだ。
 あるモデルを使って計算した研究者の報告によると、海洋への一次マイクロプラスチックの流出は、世界全体で、年に、150万トンと推計されている。この数字は世界人口1人当たり、212gに匹敵。
 ガイヤーらの計算によると、一次マイクロプラスチックのほとんど(98%)が陸上での活動から発生している。そのうち、最大の発生源は、前述した合成繊維の洗濯(63%)と走行中の自動車タイヤの摩耗(28%)だ。
 一方、海洋にある大きなプラスチックも、波の衝撃や紫外線の影響を受けて、砕けたり分解してマイクロプラスチックになっていく(二次マイクロプラスチック)。魚やウミガメがプラスチックを餌と勘違いして噛み砕くことによってもプラスチックは細かくなっていく。したがって、海洋プラスチック汚染は連続線であることを忘れてはならない。今日の大きめのプラスチックは必ず分解され、明日のマイクロプラスチックになるのだ。
 マイクロプラスチックは、極小であるが自然環境にとって大きな脅威である。何故なら、マイクロプラスチックの一つ一つが、外来種を媒介・移動させたり、水中の化学的汚染物質を吸収したりするからだ。そして、さまざまな野生生物が簡単に飲み込んでしまうからである。
 マイクロプラスチックを取り込んだ魚を人間が食べた場合、人体への影響はあるのだろうか?現時点では確固たる結論は出されておらず、研究が進められている。プラスチック自体は排出され人体には無害であっても、マイクロプラスチックは有害物を吸着しやすいため、魚の体内で有害物が濃縮され、その害が人体に及ぶ可能性を指摘する声は少なくない。





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