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2018年12月28日 (金)

Clinical 口腔がん術後機能障害に対する歯科医師の役割とその治療の基本的手技 ②

続き:
2. 顎骨欠損状態とその対応
 顎骨や軟組織の器質的欠損は、部位、切除範囲、再建の有無などにより様々な機能障害を生じさせる。そのため、治療目的~機能回復程度迄が個々の症例により異なるのである。→代表的な欠損状態と顎補綴治療を述べる。
1) 上顎欠損
(1) 硬口蓋欠損
   支台歯となる現存歯が存在し、顎骨欠損が口蓋部に限局し、欠損部周縁がすべて非可動組織の場合は比較的、顎補綴装置の製作は容易である。口腔と鼻腔の交通による重篤な構音障害、嚥下障害が認められるが、通法のパーシャルデンチャー製作方法に従い口蓋欠損部をレジン床で被覆すれば、機能障害はおおむね解消する。
   無歯顎非再建症例では、欠損部上方のアンダーカットを利用し、鼻腔側に顎補綴装置の維持を求める必要がある。咀嚼などの機能時の義歯の可動性は残るものの、ある程度の機能回復が持込めることが多い。
   一方、無歯顎再建症例では、皮弁再建により欠損腔が封鎖されるため鼻腔への飲食物の侵入の防止や、構音障害の軽減が見込まれる。しかし、機械的維持力を利用できないことや、皮弁部の被圧変位量、経時的形態変化が大きいことなどにより顎補綴装置の製作が非常に困難または不可能となるケースが多い。
   このように、現存歯の状態、再建術の有無などにより、その後の顎補綴治療方針や治療成果が強く影響を受けることは、歯科医師であれば容易に理解できることと思われる。しかし、現存歯、対向関係、術後機能障害の回復に有利な口腔内条件などを考慮した上で手術していただける医科の先生は残念ながらまだごく一部である。
   機能回復を担当する歯科医師の術前カンファレンス参画が望まれる―良例かも。
(2)  軟口蓋欠損
   軟口蓋欠損症例に対する顎補綴治療は、現存歯の有無にかかわらず難易度が高くなる。理由は欠損部周縁組織の可動性が、機能運動時に装置と周囲組織の間隙を生じさせ、機能回復程度を著しく低下させることにある。そのため、より一層印象採得や装置装着後の調整を注意深く正確に行う必要がある。
   特に軟口蓋後方部に欠損が及ぶ場合は咽頭後壁との接触が喪失、もしくは減弱することにより鼻咽腔閉鎖機能が傷害され、嚥下や構音障害が生じる。この場合は、顎義歯後縁を咽頭に向けて大きく延長し、機能時に咽頭後壁に接触する軟口蓋の機能の代償を目的とした顎補綴装置の装着が必要となる。
   顎欠損症例においては被圧変位量が大きい周囲組織が存在することが多く、疼痛を発現させる強接触があっても、シリコンやペースト状の粘膜適合試験材での検出が困難なことがあり、装置の調整に苦労する。このような部位の存在が予測される場合は、軟口蓋欠損症例に限らず、セット時の貧血帯などを確認しやすくするためクリアレジンを使用することを勧める。
   また、軟口蓋においては欠損が存在しない場合でも機能障害を呈する症例が存在する。硬口蓋部切除術後の瘢痕拘縮による軟口蓋可動性の減弱や神経障害に伴う機能不全などである。
   その場合は、スピーチエイドや軟口蓋挙上装置といった顎補綴装置の適応となることが多い。




せいさくアンダーカット

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