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2018年12月15日 (土)

海洋プラスチック汚染とは?パートⅡ―⑨

続き:
※ 5-3 プラスチック資源循環戦略(素案)
 2018/10/19、第三回プラ戦略小委に出された「戦略素案」は、これまでのような積み上げ方式ではなく、「あるべき姿」として野心的なビジョンを提供するもので、委員からも高い評価が寄せられた。海洋プラスチック憲章との対比を見てみよう。
◍2030年までに、ワンウェイのプラスチック(容器包装等)を累積で25%排出抑制(日本独自)
◍2025年までに、プラスチック製容器包装・製品のデザインを、容器包装・製品の機能を確保することとの両立を図りつつ、技術的に分別容易かつリユース可能またはリサイクル可能なものとする(それが難しい場合にも、熱回収可能性を確実に担保する)(海洋プラスチック憲章では2030年)
◍2030年までにプラスチック製容器包装の60%をリサイクルまたはリユースし、かつ、2035年までにすべての使用済プラスチックを熱回収も含め100%有効利用(海洋プラスチック憲章では2030年に55%、100%は2040年)
◍2030年までに、プラスチック再生利用を倍増(海洋プラスチック憲章では50%増)
◍2030年までに、バイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入(日本独自)
 このように、署名しなかったことで批判された海洋プラスチック憲章を超える野心的な目標を提示しており、評価に値する。
 また、この目標を達成するための手段の一つとして、「レジ袋の有料化義務化」が打ち出され、テレビのワイドショーなどでも取り上げられるホットな話題となっている。
 我々は「使い捨て」に支えられた便利なライフスタイルに慣れ親しんでいる。レジ袋やビニール袋、食品用容器、包装紙、ストロー、プラスチックカップなどは多くの場合、無料でもらえる。本当はプラごみの清掃やリサイクルのための回収には税金という形で費用がかかっているのだが、それは目に見えない。
 また、汚染の結果、将来世代が被るダメージやコストも、われわれが買い物をしたときの費用には含まれない。「無料」であるから、「プラスチックにはコストはかかっていない」という印象が生まれ、使い捨てを助長している一面もある。こうした生活者のライフスタイルの変革を促すうえでもレジ袋の有料化は有効だと考える。
 戦略素案に謳われているように、「中小企業・小規模事業者など国民各階層の状況を十分踏まえた必要な措置を講じ」つつ、「国等が率先して周知徹底・普及啓発を行い、こうした消費者のライフスタイル変革に関する国民的理解を醸成」していくことを強く願っている。
 また、レジ袋やストローなどだけでなく、戦略素案では簡単な言及にとどまっているものの海洋プラスチック汚染の大きな原因になっている漁具やペットボトルなどへの対策も強力に進める必要性も忘れてはならない。
 今回の戦略素案は業界との事前の議論の上で出されたのだろう、委員会でも否定的な意見は出なかった。ようやく日本も、海洋プラスチック汚染への取り組みで世界に遅れているという汚名を返上できるだろうか。あとは、この戦略に実効性とスピード感をどう持たせるか。今後の動きもしっかりと見守っていきたい。





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