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2018年12月12日 (水)

海洋プラスチック汚染とは?パートⅡ―⑥

続き:
4-3 プラごみの発生を防止する取り組み
 プラごみに限らないが、廃棄物を減らす・なくすために、「3R」が謳われてきた。Reduce(減らす)・Reuse(再利用する)・Recycle(リサイクルする)だ。3Rとはいいながらも、「減量と再利用に努め、残りはリサイクルすればいい」と、リサイクルに期待がかけられている場合も多い。
 しかし、プラスチックに関しては、現時点で9%しかリサイクルされていないこと、そもそもプラごみの発生量が大きすぎて、現在のリサイクル施設では対応しきれないことから、「3Rでは不十分だ」「3Rではなく、5Rを採り入れるべきだ」という研究者の間で大きくなっている。
 5Rとは、3Rに「repurpose」(異なる用途に再活用する)を加え、そもそも3Rの前に「refuse」(拒絶する)を置く考え方だ。そして、「リサイクル」は、他の選択肢がない場合の最後の手段として位置づけられる。
 身近なレジ袋を例にとると、その「製造・販売・利用を禁ずる」ことなどがrefuseにあたる。「レジ袋に課金する」「マイバック持参を奨励する」などによって、その枚数を減らす取り組みがreduceだ。「もらったレジ袋を再利用して、新しいレジ袋をもらわなくて済むようにする」のがreuseで、もらったレジ袋を「別の用途に活用することでごみにしない」ことがrepurposeだ。そして、最後に、「レジ袋を回収して、リサイクルする」recycleが来る。
 世界では、「リサイクルは最後の手段であり、使用禁止や異なる素材への転換も含め、そもそも使用をゼロにする」取り組みが進んでいる。UNEPの2018年のレポートによると、現在、使い捨てのプラごみを減らすために、禁止・課金を行っている国は60ヵ国を超えている。
 レジ袋やビニール袋の使用を禁止・制限している国(地域)を見てみよう。アジアでは、インドネシア、バングラデシュ、マレーシア、カンボジア、台湾などに加えて、インドもプラスチックの袋の販売と使用を禁止し、カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーンなど)、袋、カップ、および他のプラスチック製品の一度のみの使用も禁止している。また、中国も超薄型ビニール袋の使用を制限し始めた。
 アフリカでは、ケニア、マリ、タンザニア、ウガンダ、エチオピア、マラウイ、モロッコ、南アフリカ、ルワンダ、ボツワナなどの諸国で、レジ袋やビニール袋は使用禁止か、課税対象となっている。たとえばルワンダでは、2008年からすでに、レジ袋やビニール袋の製造・輸入・販売・使用が全面禁止されている。ルワンダの空港に到着した旅行客のスーツケースにビニール袋が入っていれば没収されるのだ。2017年、ケニアでも同様の厳しい方策が導入されている。
 米国では、カリフォルニア州は州全体で、その他のいくつもの州では市や町のレベルでレジ袋やビニール袋の禁止や課税、特別リサイクル・プログラムの対象とするなどの対策を取っている。
 最も対策が進んでいると考えられているヨーロッパでは、EUレベルでの政策のほか、各国が海洋プラスチック汚染の防止に向けての法規制などを進めている。2015年12月に、欧州委員会は「サーキュラー・エコノミーに向けた EU 行動計画」を採択したがここにも「プラスチック戦略」への言及がある。
 2018年1月には、「2030年までに使い捨てのプラスチック容器・包装を域内でゼロにする」という目標を掲げた「プラスチック戦略」を表明し、具体策を打ち出し始めている。
 包装材および包装ごみに関する EU 指令やその改正を通じて、軽量レジ袋・ビニール袋の消費を減らすための方策もとっており、EU レベルの「海洋戦略枠組み指令」 (Marine Strategy Framework Directive : MSFD) にも海洋ごみに関する条項がもうけられている。
 2017年11月に国際自然保護連合(IUCN)がまとめた「EU諸国の海洋プラスチック汚染に関する国家政策」概要を見ると、多くのEU諸国が具体的な削減目標を設定していることがわかる。たとえばベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、マルタ、スペイン、英国などだ。
 ベルギーでは地域レベルでも目標を設けていて、たとえばフランドル地方では「2025年までに海洋環境への流出を75%削減する」目標を掲げている。
 具体的な手法としては、レジ袋の削減を挙げる国が多い。たとえば、オーストリアでは、同国の農業・森林・環境・水管理省が主要な企業やNGOとともに、レジ袋の削減についての自発的な協定を結んでいる。「レジ袋よさようなら」と名づけられたこの取り組みは、2019年までにオーストリアにおけるレジ袋の枚数を半減し、一人あたり年間最大25枚に抑えることをめざしている。
 同様に、フィンランドでも環境省とフィンランド商工連合会がレジ袋の消費を削減するための「レジ袋協定」を締結している。
 また、ベルギー、デンマーク、ハンガリー、アイルランド、マルタ、ポルトガル、英国では、レジ袋に対する課税または料金を設けている。たとえば、英国は2016年に5ポンドの課徴金を導入。
 ベルギーでは、アルミホイルや使い捨てカトラリーなどにも同様の税金を導入。
 ブルガリア、クロアチア、ドイツ、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スウェーデンでも同様に課税・料金設定がされていると言っている。
 さらに厳しく、「禁止」に踏み切っている国も増えている。ベルギー、のブリュッセル地域では、2017年9月にレジでの使い捨てレジ袋の提供が禁止された。
 フランスでは、2016年8月30日、『2020年1月1日以降、使い捨てのプラスチック容器について原則使用禁止とする』という政令を公布。
 チェコ共和国にも、無料のレジ袋提供を禁止する包装法がある。
 イタリアでは、2014年以来、生分解性ではない軽量レジ袋・ビニール袋の配布が禁止。
 オランダでも2016年以来、無料でのレジ袋配布を禁止。
 また、化粧品のマイクロプラスチック(マイクロビーズ)に関する動きもある。
 イタリアでは「2019年までに化粧品に於けるマイクロプラスチック使用の全面禁止」を求める法律が議会で議論されている。
 スウェーデン、フランス、フィンランド、アイルランド、、ルクセンブルグでは「2020年6月までに、マイクロビーズを含む洗い流し式の化粧品の市場投入を禁止する」としている。
 英国でも同様に、化粧品やパーソナルケア製品に於けるマイクロビーズ禁止が提案されている。





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