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2018年12月11日 (火)

海洋プラスチック汚染とは?パートⅡ―⑤

続き:
       <対策>
4-1 国際レベルの対応
 具体的な各国・地域の取り組みを見るまえに、海洋プラスチック問題に関する国際動向を見ておこう。
 2015年に策定された国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)でも海洋汚染に関する目標・ターゲットが設けられ、各国の取り組みが進むきっかけの一つとなっている。目標14は、「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」となっているが、その下に設けられたターゲットの最初に「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減すること」と定めている。
 2017年12月に開催された国連環境総会では、「海洋プラごみ及びマイクロプラスチック」に関する決議が採択され、これらに対処する際の障害及びオプションを精査する専門家グループ会合を招集することを決定した。2018年5月に第1回会合が開催されている。
 2018年6月にカナダで開催された G7シャルルボワサミットでは、先に述べたように、日本と米国を除く各国は、達成期限付きの数値目標 等を含む「海洋プラスチック憲章」を承認している。
 2017年7月に開催された G20 ハンブルグサミットで、G20 サミットとしては初めて、海洋ごみが首脳宣言で取り上げられ、「海洋ごみに対する G20 行動計画」を立ち上げろことが合意されている。
 このように国際レベルでの問題意識の共有と取り組みの推進は大きな潮流になっている。― 具体的にはどのように対策を打っていくのか?
 海洋プラスチック汚染問題への対策は、大別して二つある。一つは、「既に海洋に出てしまったプラスチック汚染を除去する」ことであり、もう一つは、「これ以上プラごみが海洋に流入しないようにする」ことだ。
4-2 海洋プラスチック汚染を除去する取り組み
 よく知られているのは、日本でも各地で行われている「ビーチ・クリーンアップ運動」だ。これは、海岸に漂着したごみを分別しながら拾い集め、その量や質に関する実態をデータとして集計する国際的な活動である。
 また、河川~海への流出を防ぐため、河川でのごみ広い運動が重要。
 また、技術を活用したさまざまな取り組みも行われているのだ。
 米国メリーランド州のボルチモア市では、ウォーターフロントに関わるさまざまな活動をしているNPO「Waterfront Partnership of Baltimore」が、地元の人々に「ミスター・トラッシュ・ホイール」として知られているプロジェクトを行っている。水力や太陽光の力を利用して、ジョーンズ・フォールズ・リバーを流れるごみを収集する。川の流れがホイールを回転させ、水中のごみを拾い上げてごみ運搬船に載せるしくみだ。水量が足りない時には、ソーラーパネルが発電する電力でホイールを駆動する。ごみ運搬船が満杯になると、ボートで曳航され、次の運搬船がやってくる。
 オランダでは、河川から海へのプラごみの流入を止める為に、気泡のカーテンを川の中に設けるという新技術が開発されている。エンジニアリング企業が開発した「The Great Bubble Barrier」は、水路の底に置かれたチューブの穴から気泡を発生させ、川底~水面までカーテンのように”遮断”する。船や魚は自由に行き来ができるが、プラごみは下~上へと上昇する”気泡のカーテン”にひっかかって水面に浮上する。川の流れに対して斜めに設置すると、川岸にプラごみが集まり、回収・除去がしやすくなるという。
 既に海洋に出てしまったプラごみを回収しようという取り組みもある。
 先進的な技術を活用して、海洋プラごみを回収する「The Ocean Cleanup」プロジェクトは、600mの長さのフローターを海面に浮かべ、その下についている3mの深さの裾部分でプラごみをとらえるものだ。
 海流と風力と太陽光発電を用いるパッシブシステムで、外部からエネルギーを注入することなく、稼働する。2018年9月にプロジェクトがスタートしており、全面稼働すれば、「巨大な太平洋ごみ海域」のプラごみの半分量を5年間で回収できるという。




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