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2018年12月 3日 (月)

Science 口腔潜在的悪性疾患→概念、口腔がんの予防 ④

続き:
<3. OPMDのがん化予防>
1) 口腔がんのリスク要因
 口腔がんの多くはOPMDを経て、がん化することが分かっている。OPMDの5%は5年以内にがん化するといわれているが、その5%を検出する有効なマーカーは現在見つかっていない。OPMDの notural history がまだ十分解明されていない。
 がん化を予防するためにはがんのリスク要因を知り、それを軽減する必要がある。口腔がんのリスクは調整困難なものと可能なものに分けられる。― 後で表に示す。※
 がんのリスク要因で最大のものは年齢(加齢)で、これは調整困難な因子である。一方、調整可能な因子で最大のリスクは禁煙である。その他、過度の飲酒、ヒトパピローマウイルス(舌根部や中咽頭のがん)の因果関係の科学的証拠が、IARC(国際がん研究機関)では確実としている。
 その他、可能性のある因子として、慢性的な刺激、口腔清掃不良など慢性炎症を引き起こす口腔内環境の影響が挙げられる。
 一方、リスクを下げる要因としては緑黄色野菜や果物の高摂取が挙げられる。また、がんリスクを下げる化学予防剤を長期間投与してがん化を予防する研究も1980年代から行われている。
 OPMDの治療の最大の目的はがん化を予防(がんの一次予防)することであり、次にがん化を早期に発見して(がんの二次予防)、適切に治療することである。
2) 外科的切除
 外科的切除は患者の性別、年齢、リスク因子、病変の部位、サイズ、病理組織学的悪性度により、メスによる切除、凍結療法あるいはレーザーによる蒸散が行なわれている。― 後で表に示す。※※
 臨床的に口腔白板症の非均一タイプあるいは紅斑を伴う紅板白板症は、がん化のリスクが高いため切除が行なわれることが多い。特に、病理組織学的(上皮性異形成)グレードが中等度以上の場合や、がん化率の高い増殖性疣贅状白板症では切除が行われる。
 紅板症はがん化率が50%といわれており、一部は既に浸潤がんを呈していることがあるため早期切除が高く推奨されている。
 一方、科学的エビデンスを世界に提供しているコクランレビューは、がん予防としての口腔白板症に対する外科的切除については、ランダム化比較試験(RCT) が無いため、その有効性は明らかではないと結論付けている。
 OPMD の外科的切除は孤立性であれば切除可能であるが、多発性、広範囲の場合は困難なことが多い。 OMPD の中には切除した部分とは別の正常粘膜と思われるところからがん化することもある。
 この概念は1953年 Slaughter により提唱され、「Field cancerization (発癌の素地)」という。
 結論として外科的切除ががん化のリスクを下げるかどうかのエビデンスはなく、現時点では OPMD の外科的切除ががん化の予防になるかは不明。
 英国の口腔外科グループは、中等度異形成の OPMD に対する外科的切除と経過観察を比較する多施設前向き RCT の実施の必要性を提唱している。





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