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2018年12月 4日 (火)

Science 口腔潜在的悪性疾患→概念、口腔がんの予防 ⑤

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3) 禁煙
 禁煙はがんだけでなくほとんどの生活習慣病を予防するための最も費用対効果の高い保健介入である。
 喫煙関連の歯科・口腔疾患の多くは禁煙により改善することが知られている。喫煙による口腔がん発症オッズ比はメタ解析で3.4(95%信頼区間 : 2.4-4.9)とされており、禁煙して20年すると罹患リスクは非喫煙者と同じになるといわれている。
 OPMDの喫煙による疾患発症オッズ比は4.0(95%信頼区間 : 3.1-5.2)と報告されている。口腔がん・OPMD患者の喫煙率を調べたコホート研究で、口腔がんでは73.3%、OPMDでも口腔底がん62.5%と高い喫煙率(過去喫煙者を含む)を示していた。
 これはたばこ煙の直接暴露とともに、高濃度の発がん物質を含む唾液が口腔底に長期間溜まるためと説明されている。
 がん治療に際して早期に喫煙介入することが、がんの予後を左右し、また、がん治療による有害事象の軽減にもつながる。咽頭部がんでは、喫煙の継続により、再発や一次がん発症のリスクが高くなることが分かっており、治療後も禁煙を継続すると、生存率は伸び、再発率は20~30%低下する。
 禁煙でOPMD患者のがんリスクがどれくらい軽減するかはまだ分かっていないが、歯科医療従事者は禁煙支援を必ず行うべきである。
4) 禁酒(節酒)
 「酒は百薬の長」といわれるが、がん予防の観点からは有害である。過度のアルコール摂取は喫煙に続いて口腔、咽頭、上部消化管と同様のメカニズムで、代謝産物であるアセトアルデヒドータンパク質付加体の生成が関与していることが分かっている。
 アセトアルデヒドは強力な発がん物質で、因果関係は科学的証拠の最も高い Group Ⅰに分類。
 口腔がん発症に対する飲酒の人口寄与危険度割合、すなわち曝露群の疾病頻度のうちで、真に曝露によって増加した部分を占める割合は、システマティックレビューで18%、喫煙は25%で、両方合わせると相乗効果で40%にもなると報告している。
 現在、禁煙や節酒が口腔がんの予防にどれくらい寄与するかの科学的証拠は明らかになっていないが、適量以上の飲酒常習者に対する禁酒介入は必要である。
5) 食事
 「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう」とは、ナポレオン時代のブリア=サヴァラン(司法官)の言葉であるが、毎日私たちが何を食べているかは病気の発症と大きく関わっている。
 疫学研究で緑黄色野菜や果物の積極的な摂取は口腔がんのみならず、食道がん、乳がん、前立腺がん、肺がん、膀胱がん、大腸がんのリスクを下げることが分かっている。
 微量栄養素としてビタミンC、βカロテン、リコピンなど抗酸化物質が、がん予防に有効であるが、あくまでも植物性食品そのものから摂取するのが最も望ましく、いわゆるサプリメントで栄養素のみを摂取することは推奨されない。
 むしろ、有害事象をきたすこともある。口腔がん発症と微量栄養素の低摂取との因果関係は、科学的証拠がほぼ確実といわれており、メタアナリシスでも確認されている。OPMDに関しては我々のコホート研究で、血清中の高βカロテン値は口腔白板症の発症低減[ βカロテン値が 1 に上昇した際のオッズ比0.160(95%信頼区間:0.029-0.866)] につながることを報告した。





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