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2019年1月 9日 (水)

メディア批評第133回―①

神保太郎(ジャーナリスト)さんが『世界』1月号に「日産ゴーン氏逮捕と検察報道」として書いている。コピーペー:
 「カルロス・ゴーン逮捕」という一報が飛び込んできた。東京地検特捜部は日産再生の立役者カルロス・ゴーン会長を金融商品取引法違反で逮捕。49億8700万円と公表していた報酬(2010~14年)はウソで99億9800万円の報酬を得ていた、という。
 だが、経営者が報酬を低く見せかけた程度のことで特捜部が動くのだろうか。
 事件の背後には、日産を巡る主導権争いがある。ゴーン支配 vs 日産の現場、ルノー主導 vs 日産・三菱連合、フランス経財省 vs 日本の経産省。国境を越えた経営支配と産業政策の軋轢が世界あちこちで生じている。グローバル化の中で利益を自国に抱え込みたい政府や産業界の思惑も絡む。
 日産にはゴーン氏のワンマン経営に不満がくすぶっていた。といっても経営に取り立てられるのはイエスマンばかり。おとなしい羊たちが「蜂起」したきっかけは何だったのか。背後の大きな仕掛けがあるように思う。それを見定めるのがメディアの仕事だ。
 「公私混同」の動かぬ証拠が見つかったことはチャンス到来だったのだろう。逮捕の日の深夜、横浜の日産本社で西川廣人日産社長は記者会見し、ゴーン氏の罪状を並べた。①報酬額の過少申告、②会社の投資資金を流用、③会社経費の私的使用があった、と指摘した。
 具体的にはどのような流用があったかは「検察の捜査に絡むので」と明らかにしなかった。だがゴーン氏と側近のグレッグ・ケリー氏(代表取締役の二人のことは「首謀者」と呼んだ。会見は、ゴーン氏を「有能な経営者」から「独裁者」に塗り替えるものだった。
 インターネットで中継されたこの会見に、多くの人は疑問を持ったと思う。西川社長は、ゴーン氏の不正を語ったが、「ゴーン氏から事情を聞いたのか」という質問に「聞いていない」と答えた。調査委員会は極秘に発足し、情報はすべて検察庁に連絡している、という。
 会社のカネが流用された疑いがあるなら、監査役が調べ、本人から事情を聞き、違反があれば処分する。その上で横領など刑事事件の疑いがあれば検察庁に告発する、というのが常道だろう。
 日産は、本人の言い分さえ聞かないまま「ごく少人数」で極秘の調査をすすめ、検察と司法取引して「ゴーン氏の犯罪」を立件しようとしている。




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