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2019年1月11日 (金)

メディア批評第133回―③

続き:
 ルノーやフランス政府と摩擦を起こしかねない反乱に「ゴーンのイエスマン」たちを動かしたのは誰か。日産を取り戻したいと願っていた経産省が蚊帳の外にいたとは思えない。
 経産省の no.2 の経済産業審議官を務めた豊田正和氏が2018年6月、社外取締役として日産に入った。退官後内閣参謀参与を務めるなど首相官邸に近い人物だ。調査委員会の立ち上げや検察と司法取引など重要案件で豊田氏が助言したとしても不自然でない。
 検察にとって今回は「司法取引」の成果を示す重大な局面でもある。2018年6月に始まったばかりの「司法取引」を使って日産内部の協力者から情報提供を受けている、という。
 制度を発足させ、企業犯罪を摘発する武器を得たはずだったが、第一号と意気込んだタイの火力発電所建設を巡る贈収賄事件は期待した成果が得られず、検察上層部に不満がくすぶっていた。
 「巨悪を眠らさない」と豪語した検察も、最近はめぼしい成果が無い。証拠を偽造して無実の人を罪人にしたてた「厚労省村木冤罪事件」が示すように、組織の劣化が目立つ。
 国会で偽証が繰り返された森友学園疑惑も、財務省が組織を挙げてやった決裁文書改竄が不起訴処分となった。検察の姿勢に不満を抱く人は少なくない。
 世界を仰天させた事件に着手したものの、「ゴーン排斥」に動く日産内の勢力と組んだ捜査である。ゴーン氏の背後にはルノーやフランス政府がいる。日産・三菱を吸収する「完全統合」へ進めたいフランス政府と三社連合に君臨するゴーン氏は決して良好な関係ではなかったが、マクロン大統領はゴーン氏の統率力抜きにルノー主導の体制構築は難しい、と見ていた。
 逮捕の翌日、世耕弘成経産相とルメール経財相は電話会議で「協力して支援」を確認した。― 腹の中は複雑だろう。
 日産のクーデターは、ゴーン氏の非行を口実に「ルノー体制からの離脱」を目指す日本の産業政策に沿うものだという疑念をフランスは拭うことはできないだろう。
 世界の自動車産業は電気・水素化や自動運転という技術革命にさらされ、各国とも自国に産業を残すことに必死だ。




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