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2019年1月31日 (木)

Clinical 脳腫瘍が原因→非歯原性歯痛 ③

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2. 脳腫瘍・血管・三叉神経根の解剖学的関係
 CPA 腫瘍は後頭蓋窩における腫瘍中で、最も一般的な腫瘍で頭蓋内腫瘍の5~10%を占めている。CPA 腫瘍のほとんどが良性で、その85%が聴神経腫瘍、髄膜腫、類上皮腫とされている。
 CPA に生じる聴神経腫瘍、髄膜腫、類上皮腫は典型的三叉神経痛に加え、片側にチクチク、ジンジンあるいはしびれ感などの異常感覚(有痛性三叉神経ニューロパチー)を伴う事がある。これらの症状の CPA 腫瘍による典型的三叉神経痛、有痛性三叉神経ニューロパチーは、脳腫瘍により圧迫された脳血管が三叉神経根(REZ : root entry zone ) を圧迫する事によって引き起こされる。
 本症例1、2および4では、いずれも聴神経腫瘍により痛みは引き起こされたが、痛みの性質、持続時間、頻度はそれぞれ異なっていた。
 症例2、3では初発症状から典型的三叉神経痛の症状を呈していた。以上の結果から、腫瘍により引き起こされた三叉神経痛様疼痛は、CPA に生じた腫瘍の病理形態というよりは、腫瘍の浸潤方向または浸潤速度に依存する可能性が考えられる。
 北原らは手術所見より、腫瘍(聴神経腫瘍、髄膜腫、類上皮腫)・三叉神経・脳血管を解剖学的に3つのグループに分類している。
 タイプ1 :腫瘍が血管を圧迫し、その血管が三叉神経 REZ を圧迫して三叉神経痛を起こす。
 タイプ2 :腫瘍が三叉神経を圧迫し、その圧迫された三叉神経が腫瘍と反対の動脈(上小脳動脈が多い)に圧迫され三叉神経痛を引き起こす。
 タイプ3 :腫瘍が直接三叉神経を圧迫して三叉神経痛を引き起こすタイプ3の3つのグループである。
 症例1と4はいずれも聴神経腫瘍であったが、タイプ2であることが多い。症例1、2および4は比較的、腫瘍が大きくなってから三叉神経痛が発症した。
 聴神経腫瘍は一般的に頭蓋内で三叉神経側へ上方伸展し、三叉神経を圧迫し、その圧迫された三叉神経が腫瘍と反対の上小脳動脈または前下小脳動脈によって圧迫を受ける。
 一方、髄膜腫である症例3のように腫瘍が三叉神経メッケル腔入口に発生母地があり、腫瘍が小さくても上小脳動脈を圧迫し、三叉神経 REZ を圧迫する形態をとるためである。
 タイプ1による三叉神経痛は腫瘍の大きいものと小さいものの二峰性をとる。これは、腫瘍発生が、三叉神経メッケル入口部に近い(腫瘍の小さいもの)か、そうでないもの(三叉神経メッケル入口部から離れた部位より腫瘍が徐々に大きくなったもの)との違いによるものと考えられる。
 北原らは類上皮腫の場合は、タイプ3であることが多いとしている。聴神経腫瘍と同様、三叉神経痛症状は腫瘍が大きい状態で発症する。通常は上小脳動脈、前下小脳動脈が責任血管となり、三叉神経 REZ を圧迫するが、脳血管の関与が存在しない場合もある。
 タイプ3では腫瘍が三叉神経を直接圧迫しており、三叉神経根で異常発火が起こる可能性がある。このことから、腫瘍による三叉神経痛発症メカニズムは典型的三叉神経痛同様、三叉神経の持続的な機械的な圧迫、ねじれにより発症するとことが考えられる。





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