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2019年1月25日 (金)

Clinical その痛みの原因は? ⑥

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4. まとめ
 診断を行う際、視診、X線診査等の視覚的情報で病的所見が認められないと、歯原性歯痛を否定する投錨効果(アンカーリング・バイアス)が強く働くことが多い。これは人間の知覚情報の8割以上は視覚情報に頼っているからである。
 ヒトの思考は直感的思考から始まりすばやい診断を下せるが、スイッチを切ることはできないので、ヒトはまず認知バイアスの影響を受け易い直感的思考で必ず物事を考えてしまう。
 一方、冷静に考え直感的思考をコントロールする分析的思考は常に働いていないので、直感的思考の認知バイアスによる影響を常に監視することはできない。
 このため診断エラーを防ぐには、直感的思考の結果だけで診断を下して早期閉鎖してしまうことに注意し、認知バイアスの影響を避けた分析的思考での診断を常に意識する必要がある。
 知識と経験に培われた直感的思考による診断は決して否定されるものではない。しかし臨床は常に不確実なものであり、歯痛の診断に際しては自分の思考過程と認知バイアスを十分理解し、歯原性歯痛か非歯原性歯痛かを慎重に見極めることが重要である。





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