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2019年1月 2日 (水)

Clinical 口腔がん術後機能障害に対する歯科医師の役割とその治療の基本的な手技 ⑦

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 口腔がんを含む頭頸部がんの治療は、頭頸部外科医、形成外科医、化学療法科医、放射線科医、病理学医、看護師などの医療連携のもと成り立っている。施設に歯科・口腔外科が存在すれば、発症部位によってはこのチームに口腔外科医、歯科衛生士が参画することになる。
 さらに歯科大学附属病院であれば術後機能障害に対し、摂食嚥下リハビリテーション科医による機能訓練や、補綴科医による顎顔面補綴治療の提供が可能となる。しかし、言葉を換えれば、頭頸部がん治療に於いては治療の上流(診断)~下流(術後管理)迄の包括的治療を提供できる施設はかなり限られるということであろう。
 術後の機能障害の回復に対し、歯科大学施設やそれに準じた治療を提供できる体制を整えた病院歯科が近隣にない地域も多く存在する。このような場合、一生涯にわたる顎義歯の調整、現存歯の管理の担い手は、地域かかりつけ歯科医師にほかならない。
 今回は顎補綴治療特有の口腔内環境、それに対する手技を中心に述べたが、高度な技術、特殊器材が必要なものではなく、通常の補綴治療の知識、手技の応用により対応が可能なものばかりである。
 本稿で挙げた術後機能障害への対処法や、顎補綴治療を行う上での留意点は、数多くある手法のうちの一部に過ぎない。
 日本顎顔面補綴学会では顎顔面補綴診療ガイドラインを作成、ホームページに掲載している。是非一度見ていただきたい。
 口腔諸器官の欠損は重篤な機能障害とともに、精神的な後遺症をもたらす。
 MEDLINEから235論文を抽出したメタ解析論文や大規模コホート研究論文で、がん治療後24~50%にうつ病の発症が認められ、「自殺率を上昇させる身体疾患」の上位に頭頸部がんが入るという報告がある。
 初めに述べたとおり、現在日本では毎年2万人弱の口腔・咽頭がん罹患者がいる。
 我々歯科医師の知識、技術が広く周知され、少しでもその恩恵を受けられる患者が増えることを期待している。―― 全国における頭頸部がん支持治療の均てん化の一助になれば幸いである。




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