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2019年1月 1日 (火)

Clinical 口腔がん術後機能障害に対する歯科医師の役割とその治療の基本的手技 ⑥

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5) 装着
 顎欠損症例の場合、開口時と閉口時で数mmの形態変化を起こす部位もある中で、鼻腔への漏洩防止を狙わなければならない。つまり周囲軟組織をある程度圧迫する栓塞子の製作が必要となるが、その形態を印象時に決定、採得することは非常に困難である。印象採得を正確に行うことは基本ではあるが、それでも装着時にレジン床の大きな削去や、粘膜調整材やリライン材の追加が必要になることは多い。
 咬合調整に関しては一般の補綴治療との違いは無い。義歯の安定、支台歯の負担軽減を目標にタッピング時、偏心位咬合時の義歯の動揺を除去していく。
 無歯顎症例の場合、辺縁封鎖による維持力を期待できず欠損部周辺のアンダーカット部に維持を求めるが、その部位も可動組織であることが多いため、脱落はしないものの上下動する義歯となる。顎欠損部が小さく、現存する口蓋の面積が大きい場合は義歯安定材の使用を勧めることもある。
 粘膜面、咬合関係の調整の後、構音検査や嚥下機能の検査、確認を行う。発音・構音検査や嚥下機能検査の方法は様々なものがあるが、中には時間を要するものや専用の器材、施設、スタッフが必要なものもある。
 顎補綴治療効果の評価が目的であるため、補綴治療前、治療後で各クリニックの環境に則した同じ検査を用いればよい。
6) メインテナンス
 顎義歯セット後は術後の経過期間、欠損範囲、再建の有無等により頻度は異なるものの、欠損部形態の経時的変化への対応や現存歯管理のため、長期的なメインテナンスが必要。
 経時的形態変化には床裏装で対応するが、直接法による裏装は材料の特性や顎欠損の状態により、適用をためらうケースがある。当施設では不適合部位に対し粘膜調整材を使用、その後間接法による床裏装を行うことが多い。
 しかし、顎欠損症例の場合、義歯を預かることができないことも多くて、その場合は光重合型の粘膜調整材を使用。ラボ用の光重合器が必要となるが、直接法の裏装時のリスク、間接法の埋没重合等の繁雑な作業を回避できるので、選択肢の一つとして備えておくことは有効と思われる。



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